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[選手権]「まだまだ発展途上」、王者・山梨学院が3発発進

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[1.2 全国高校選手権2回戦 山梨学院3-1国見 柏の葉]

 第89回全国高校サッカー選手権は2日、各地で2回戦を行い、初出場した前回大会で初優勝を飾った山梨学院(山梨)が過去優勝6回の実績を誇る名門・国見(長崎)と対戦。FW加部未蘭(3年)の2得点1アシストの活躍で3-1と快勝した。3日の3回戦では初出場の駒澤大高(東京B)と対戦する。

 前回王者がまずは初戦を突破した。前半2分、カウンターから右サイドを突破したMF堤建太(3年)の折り返しを受けた加部のシュートが右ポストをかすめると、同4分には国見も決定機。MF東矢祐仁(3年)の右CKにMF大町将梧(3年)が打点の高いヘディングで合わせ、クロスバーを直撃した。

 山梨学院は前半16分にもスルーパスに反応した加部のシュートがゴールのわずか左へ。互いにチャンスをつくり出す激しい攻防は、山梨学院が決定力の差で上回り、立て続けにゴールを奪った。

 前半21分、加部の浮き球パスを受けたMF白崎凌兵(2年)がDFの間を抜く右足シュートで先制点。同30分には右後方からのMF荒木克仁(2年)のFKを加部が頭でそらすと、これがふわりとGKの頭上を越え、ゴールマウスに吸い込まれる。さらに同32分、右サイドを仕掛けた白崎の折り返しを受けた加部が鋭い反転から左足を振り抜き、ゴール左隅にねじ込んだ。

 加部の連続ゴールで3-0。前半のシュート数は5対9と国見が上回っていたが、5本で3点を決めた山梨学院が、9本で無得点の国見に大量リードを奪い、前半を折り返した。

 後半に入ると、前がかりになる国見が山梨学院を押し込んでいく。後半17分、スルーパスに抜け出したMF井上良太(3年)の決定的なシュートはGK畠山睦(3年)がビッグセーブ。なかなか1点を奪えずにいたが、同22分、左サイドを突破したFW柴田隆太朗(3年)の左クロスを大町がヘディングで叩き込み、ついに1点を返した。

 国見は後半33分、DF辻慎一郎(3年)に代えてFW高橋諒(2年)を投入。左MFの井上が左SBに下がり、高橋が左サイドに入った。攻撃的布陣に変更して怒涛の反撃を見せたが、山梨学院も最後まで集中力を切らさず、3-1で逃げ切った。

 山梨学院の後半のシュート数は2本。90分を通しても7対13と国見に劣った。吉永一明監督は「ラッキーな部分も多かった。スコアほどの差はない。(結果が)逆になる可能性もあった」と厳しい表情で話し、MF宮本龍主将(3年)も「前半に連続して点を取れたのはよかったけど、前半だけでなく、1試合を通していいゲームができないとダメ」と気を引き締めた。

 とはいえ、どんなチームにとっても初戦は難しい。まして前回王者として注目も期待もされた山梨学院とすれば、そのプレッシャーも他チーム以上のものがあったはずだ。初出場初優勝を飾った1年前も、大会を勝ち進むにしたがってチームは成長していった。加部は「まだまだ発展途上のチーム。もっともっと強くなる」と言い切った。

 「(開会式で)優勝旗もカップも全部返した。真っ白な状態からのスタート。たまたま今日のユニフォームも白だったので、選手には『白のユニフォームを着て、これから自分たちの代の色を付けていこう』という話をした」と吉永監督。連覇を狙うのではなく、今回のチームで新たな歴史を刻む。新生・山梨学院の挑戦が始まった。

[写真]前半21分、MF白崎凌兵(左)が先制点を決める

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2010

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