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[選手権]日章学園がPK戦の末に静岡学園下す!!

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[1.3 全国高校選手権3回戦 日章学園0-0(PK4-3)静岡学園 ニッパ球]

 日章学園が静岡学園を撃破! 第89回全国高校サッカー選手権の3回戦が3日に各地で行われた。神奈川県・ニッパツ三ツ沢球技場での第2試合では日章学園(宮崎)と静岡学園高(静岡)が対戦。0-0でもつれ込んだPK戦の末、日章学園が勝利した。 

 「やっぱりこいつらは持ってるんじゃないか」試合後に日章学園の早稲田一男監督は笑顔で話した。現在の先発メンバーには、日章学園中で08年に全国制覇を経験している選手が多く顔を揃えている。そんな彼らはやはり“持っていた”。

 中学時代には輝かしい実績を残した選手たちだが、今夏の全国総体には出れず、夏から冬の選手権に向けて、強化に励んでいた。「夏過ぎから同じ高校生には練習試合でも負けてない」と練習試合で淡々と実績を積み上げてきた。だからこそ、今回の結果にも「勝てるんじゃないかと自信めいたものはあった」と指揮官は力強く語った。

 試合は立ち上がりから日章学園のプラン通りの展開となった。静岡学園が川崎Fの来季入団が内定しているMF大島僚太(3年)やMF星野有亮(3年)を起点に攻めにかかってくるのを、守備陣を中心に体を張ってゴールを死守。逆に攻め疲れて、プレスに来なくなった相手の隙をついてカウンターを繰り出した。シュート精度を欠き、得点は生まれなかったが、静岡学園に見せ場を与えずに0-0で前半を折り返した。

 それでも後半には、ハーフタイムに川口修監督から「前半はカウンターでやられていたから変なボールの失い方はしないように」と指導を受けた静岡学園がようやく見せ場を作り出した。
 
 後半19分にはオーバーラップしたDF伊東幸敏(2年)の右クロスにFW鈴木健太(3年)が合わせたが、わずかにクロスバー上方へ外れた。同26分にはPA手前右で大島が倒され、獲得したFKを自ら狙ったがGK正面。1点が奪えない。

 同39分には右サイドから突破を仕掛けた大島がゴールライン際ぎりぎりの位置から絶妙なマイナスのクロスを上げたが、FW中西倫也(3年)のヘディングシュートはGK河野敦人(3年)に阻まれた。

 対する日章学園も一方的に押し込まれる展開ではなく、静岡学園に攻撃で対抗。FW福満拓人(3年)が果敢なドリブル突破からチャンスを演出。MF神田傑(3年)とのワンツーから相手PA内へ進入し、シュートまで持ち込んだ。

 しかし、前半同様にシュート精度を欠き、ゴールにはつながらず。同30分には細かいパスのつなぎから最後は神田がミドルシュートを狙ったがわずかにクロスバー上方へ流れてしまった。

 そのまま決着はつかず、試合はPK戦へもつれ込んだ。先攻の静岡学園は1人目のキッカーを務めた大島がしっかりとゴール左に沈めた。しかし、日章学園も外さない。互いに全員が決めて迎えた4人目、先攻・静岡学園の廣渡が蹴ったボールがわずかにポスト左へ外れた。対する日章学園は神田が決めて、最終キッカーへプレッシャーをかける。

 そして静岡学園の5人目のキッカーは主将のDF金大貴(3年)。なんとか決めて、望みをつなげたいところだったが「思い切り蹴ろうと思ったら強く蹴り過ぎた」というボールは大きくゴール上へ外れ、この瞬間に日章学園の勝利が決まった。

 試合後、静岡学園の川口監督は「あれが課題。決めきれない弱さがあった。ああいう中で技術で点を取れないといけない」と試合を振り返った。終わってみればシュート数では日章学園が10本なのに対し、静岡学園は18本と大きく上回ったが、“学園らしさ”の象徴である技術を武器にした決定的な崩しは少なく、強引に持ち込んでのシュートが多かった。

 これに対して勝利した日章学園の早稲田監督は「勝機が薄い中でもこうやって勝つことができて良かった」とほっとした表情もみせた。次戦では4強進出をかけ、滝川二(兵庫)と対戦する。またもや強力な攻撃力が売りのチームとの一戦となるが、選手たちは静岡学園を倒して大きく自信をつけた様子。快進撃はどこまで続くか。

(写真協力 『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 片岡涼)
【特設】高校選手権2010

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