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[選手権]“大迫の悪夢”振り払った滝川二、7年ぶりの4強進出!

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[1.5 全国高校選手権準々決勝 日章学園 0-3 滝川二 三ツ沢]

 滝川二(兵庫)が“大迫の悪夢”を振り払った。第89回全国高校サッカー選手権準々決勝で7年ぶりの4強進出を狙う滝川二は、初の4強入りを目指す日章学園(宮崎)と対戦。前半8分にMF本城信晴(3年)が先制ゴールを決めるなど3-0で勝った滝川二が、4度目となる準決勝進出を果たした。滝川二は8日の準決勝(国立)で立正大淞南(島根)と戦う。

 試合開始前、会場のニッパツ三ツ沢球技場入りした滝川二の栫裕保監督は選手たちに「オレはもうやられたくないゾ」と話し、イレブンを笑わせたという。この会場は2年前の08年度大会準々決勝で、滝川二がFW大迫勇也(現鹿島)擁する鹿児島城西(鹿児島)に2-6で大敗した場所。大迫勇に完膚なきまでに叩かれた当時の試合後、ロッカールームで滝川二DF中西隆裕主将が涙ながらに発した「大迫半端ないって!」のことばと映像は、一部高校サッカーファンらに大きなインパクトを残したものだった。

 当時1年生でスタンドから観戦していたという現主将・FW浜口孝太(3年)も「ボクもこの会場にいいイメージはなかった」と明かしたが、今回その因縁の場所で、滝川二が躍動した。序盤から球際での激しい寄せを見せ合った両チーム。だが8分、滝川二はFW樋口寛規(3年)と2トップ“ダブル・ブルドーザー”を組む浜口主将が力強いプレーでポイントとなると、こぼれ球を拾った本城が右足ミドルをゴール右隅へと叩き込む。ファインゴールで先制した滝川二は27分にもMF香川勇気(3年)の左クロスを樋口がダイビングヘッドで4戦連発となるゴールを押し込み、2-0とした。

 PK戦にもつれ込む死闘の末にV候補の静岡学園(静岡)に勝利していた日章学園だが、土師直大(3年)と亀岡淳平(2年)、GK中尾優輝矢(3年)を中心とした滝川二の粘り強い守備の前に阻まれ、またMF早稲田進平(3年)が「チャンスはあったけど連動していけなかった」と振り返ったように反撃を得点に結びつけることができない。後半開始からはコンディション不良でベンチスタートのFW當瀬泰祐とMF今川翔(ともに2年)を同時投入し、巻き返しを図るが抜群の持久力を持つ香川や本城ら滝川二が見せるハードワークの前にゴールを奪えなかった。

 逆に滝川二は後半32分、土師の左ロングスローを絶妙なトラップでコントロールした浜口主将の右足シュートでダメ押した。“ダブル・ブルドーザー”はともに負傷を抱え万全ではなかったが、朝食時に「きょう勝ったら(準決勝まで)2日休める」と奮い立たせ、最前線でチームを引っ張り今大会3回目のアベックゴール。そしてチームは日本代表FW岡崎慎司が2年生だった03年度以来となるベスト4進出を決めた。

 浜口主将は「ああいう風に(鹿児島城西に大敗したように)ならなくてよかった。インターハイの準優勝はまぐれでないこと示せましたかね」と4強進出にホッとした様子だった。今夏の全国高校総体では決勝進出したが、本人たちは決してはじめから優勝を目指して戦っていたわけではなかった。「インターハイは初戦負けの匂いがプンプンしていた。あんなところまでいけるなんて、みんな思ってなかったと思う」と浜口主将も苦笑する。それでも勢いに乗ったチームは勝ちあがり、本人たちも驚く準優勝。だが今回は違う。浜口主将は「勢いはあると思うけど少しサッカーのレベルがインハイの時と違うと思う。みんなひとりひとりが動いて頑張れるようになった。今の滝二には自信持てます」と言い切った。

 指揮官の「念願の国立1勝目指す」という誓いが達成されれば、滝川二にとって初の決勝進出となる。樋口は「国立でサッカーできる喜びを感じてひとつになってやっていきたい」。全国総体準V校が「今の滝二は違う」ところを見せ、今度は胸を張って決勝切符を掴み取る。

[写真]浜口(右)と樋口の“ダブル・ブルドーザー”を中心に滝川二は7年ぶりの4強進出
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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