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興梠が不眠症を乗り越え2発、「みんなが一番のプレーをした」

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[11.28 J1第33節 鹿島5-1G大阪 カシマ]

 鹿島アントラーズが記録的大勝で、3連覇に王手をかけた。1試合5得点は07年6月16日の広島戦(5-1)以来、2年5ヵ月ぶり。貴重な先制点、そして試合を決定付ける3点目を奪ったのはFW興梠慎三だった。

 後半11分、カウンターからMF小笠原満男のスルーパスに抜け出すと、DF中澤聡太と対峙。「1対1だったんで仕掛けようと思った」。2度の鋭い切り返しで中澤をかわすと、角度のない位置から右足でゴール左隅にねじ込み、先制点を決めた。

 2-0とした直後の後半15分に1点を返され、ピッチ上には不穏な空気も流れた。「僕自身、不安は少しあった」という流れが相手に行きかけたところで、興梠の右足が再びG大阪を突き放した。

 失点から2分後の後半17分、またも野沢の左クロスに右足つま先で合わせ、ゴールネットを揺らす。「3点目を取れた時点でこの試合は取れたかなと思った」(MF中田浩二)という重要なゴールになった。

 今季はこれで11点目。しかし、「大事な試合で点を取れていない」との悩みもあった。「前節の京都戦まで調子が悪くて、この試合でどうしても結果を出したかった」。気負いか、プレッシャーか。この1週間は不眠症にも悩まされた。

 「夜の11時ごろに布団に入っても、夜中の3時とか4時まで寝付けないことが続いた。こんなの初めてだった」。それでも試合前日には開き直れたのか、すぐに寝付くことができたという。自信と平常心。充実した精神状態で試合を迎えることができた。

 「大一番で2点決められたのは大きいし、大事な試合でみんなが一番のプレーをしたことがよかった」。そう胸を張った興梠は「こんなのがまた1週間続くのかと思うと、嫌ですね」とおどけた。

 優勝をかけた一戦は12月5日。敵地・埼玉スタジアムでの浦和戦だ。「変わったことをするわけではないし、いつも通りのプレーをするだけ。僕たちは勝つしかない。川崎の結果は気にせず、自分たちの試合をして勝ちたい。もちろんゴールも狙っていくけど、まずチームが勝つためにプレーしたい」。勝てば文句なく、史上初の3連覇が決まる。あと1勝。ひと皮むけた背番号13が、常勝軍団の歴史に新たな1ページを刻み込む。

<写真>鹿島FW興梠
(取材・文 西山紘平)

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