beacon

[Jの新風(3)]FW前田俊介(大分)

このエントリーをはてなブックマークに追加
[5.30 ナビスコ杯第4節GL第4節 横浜FM 3-3 大分 ニッパ球]

 かつて“天才”と謳われた男の鮮烈な2発だった。1点リードされた大分トリニータは後半29分、3枚目の交代カードとして今季公式戦出場3試合で無得点の22歳・FW前田俊介を投入。その前田は投入から7分後の36分、左SB坪内秀介のアーリークロスをニアサイドで頭で合わせ同点ゴール。すると39分には、右サイドから鋭いドリブルでPAへ進入し、ほとんど角度のない位置から右足シュートを突き刺した。「シュートを打てば何かが起こると思ったら、たまたま入った」と振り返る前田は、ゴール裏スタンドへ駆け寄りサポーターたちとともに喜びを爆発した。

 試合はまさかの後半ロスタイム被弾で引き分けに終わったが、FWウェズレイ、FW高松大樹を欠き得点力不足に悩むチームにとって前田の活躍は心強い限りだ。高校時代には広島ユースのエースとして03年のJユースカップ、04年の日本クラブユース選手権と同全日本ユース選手権で得点王を獲得。この全てでチームを日本一へと導き、そして05年にはJ1で5得点、U-20日本代表として出場した同年のU-20W杯でも貴重なゴールを決めるなど大活躍した。この日の2発は過去3シーズンでリーグ戦4得点に終わっている“天才アタッカー復活”へのきっかけとなるかもしれない。
 チームはこの日の引き分けで14試合連続未勝利となったが前田は「良くなっているんで大丈夫じゃないですか」とチームの復調も明言。ただ、チームが上昇気流に乗るためにも、近年不安定なパフォーマンスに終わっていた“天才”の継続的な活躍に期待が集まる。

※この連載企画では、ナビスコ杯のニューヒーロー賞候補選手の中で、各試合最も活躍した選手を取り上げていきます。
(取材・文 吉田太郎)

TOP