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強気の采配が裏目に…千葉は痛恨黒星で11戦未勝利

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[9.26 J1第27節 千葉1-2山形 フクアリ]

 負けてはいけない試合で敗れた。17位ジェフユナイテッド千葉は、残留を争う15位山形に1-2で敗戦。残り7試合で勝ち点差は7に開き、J1残留が極めて厳しい状況に追い込まれた。

 就任後8試合未勝利(4分4敗)となった江尻篤彦監督の強気の采配が裏目に出た。1点を追う後半19分、FWネット・バイアーノを投入し、2トップに変更すると、同23分にはMF和田拓三を入れ、3バックにシフト。リスクを冒した布陣で、同26分にはセットプレーからMFミシェウが1点を返したが、直後に決勝点を献上した。

 後半28分の失点シーンは、左サイドに広大なスペースを空け、そこを突かれた形だった。和田投入は3バックへの変更の合図で、DF池田昇平も「(和田が入ってからは)3バックのつもりだった」と言う。しかし、左センターバックのDF青木良太と左サイドハーフになったFW深井正樹のポジショニングが曖昧で、ピッチ上で意思統一が図れていなかった。池田も「2点目を取られたときはバランスがおかしかった」と認める。

 なまじ和田投入直後に同点ゴールが入ったことで、混乱に拍車がかかった。「もう1点取りに行った。勝ちしか意識していなかった」(池田)とリスクを冒した攻めを続けたが、チーム内のリスクマネジメントが徹底されず、勢いに任せてしまい、わずか2分で同点ゴールをふいにした。

 「もう少し自分たちでコントロールして、もう1回試合を落ち着かせないといけなかった。同点にしたあとも、同点にするまでの感じでやっていた」と池田。もちろん勢いで一気に逆転できることもある。結果論ではあるが、勝負どころで不慣れな3バックに変更し、攻めに焦った采配には疑問が残った。

 4試合連続で先発していたFWネット・バイアーノをベンチに置き、FW巻誠一郎を3試合ぶりに先発起用した前半も、攻撃は機能していなかった。ボールを持っても周りの動き出しが少なく、判断も遅い。パスミスも目立ち、ほとんどチャンスらしいチャンスはつくれなかった。

 江尻監督就任から2ヵ月近くがたちながら、いまだ攻撃の形は見えない。ネット・バイアーノが先発した試合では単純に前線に放り込むシーンも多いが、まだそちらの方が得点の可能性を感じる。

 残り7試合。最終節で劇的な逆転残留を果たした昨季のような奇跡はもう一度起こるのか。数字を見ると、昨季は27節終了時点で千葉は16位で、残留圏の15位東京Vとは勝ち点差1だった。今年は勝ち点7差。24節から28節まで5連勝した昨季の勢いもなく、現在11試合連続で17節から勝利に見放されている(5分6敗)。

 「スタジアムに足を運んでくれるサポーターがいる限り、下を向いてさじを投げることはできない。可能性がある限り、前を向いて進むしかない」。そう力説した江尻監督の表情にも焦燥の色は隠せなかった。

(取材・文 西山紘平)

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