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[高校MOM178]青森山田MF椎名伸志主将(3年)_「悔しい」自分に厳しく笑顔なき快勝

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 第88回全国高校選手権準々決勝 青森山田 4-0 神村学園 市原臨海]

 4-0の快勝にも主将の表情は曇っていた。中盤の底の位置をほぼひとりでカバーし、神村学園の強力攻撃陣に食らいついた青森山田のU-18日本代表候補MF椎名伸志主将(3年)。だが本人は4-0勝利に導いたプレーにも「個人的にはいいプレーをしたつもりはない。ディフェンスで剥がされる場面があった。ミスも多くてすごく悔しい。納得できない」と首を振った。

 右膝じん帯断裂の重傷から今大会直前に復帰したばかり。「状態は悪くないけど、良くもない」と語る。本来は正確な左足キックと抜群の運動量を武器に、U-17W杯日本代表MF柴崎岳(2年)とともに攻撃を組み立て、決定的な場面に顔を出すことも役割だが、負傷箇所への負担を抑えるために攻撃を控え、守備に専念。それでもこの日はその守りが相手の攻撃を狂わせた。

 抜群の運動量と闘争心で中盤のスペースを埋め、身体を張って相手ボールに絡んだ。本人の言う通りかわされる場面があったことは確かだが、相手のドリブルをDFと挟み込み食い止める役割をその何倍の数も果たしていた。黒田剛監督も「中盤の底で相手が1人、2人・・・といるなかでアイツが身体を張って頑張ってくれた」と評価。加えて、前半23分にCB赤坂勇樹(3年)の先制ゴールを演出したのも主将の左足FKだった。優勝候補同士の一戦での快勝劇は、チームの先頭に立って戦った彼の存在が間違いなく大きかった。

 目標である優勝まであと2勝。当然これが大きな目標だが「自分の復帰に携わってくれた人に恩返ししたい」という思いも強く持つ。負傷した夏休みから約5ヵ月間かけて戻ってきたピッチ。復帰するという目標を果たした椎名主将は、自分を支えてくれたチーム、全ての人たちのために自分自身に厳しく結果を求めている。

<写真>青森山田MF椎名
(取材・文 吉田太郎)

特設:高校サッカー選手権2009

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