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ハットトリックにも満足しない本田、途中交代に「4点目いきたかった」

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[6.8 W杯アジア最終予選 日本6-0ヨルダン 埼玉]

 ハットトリックにも満足しないのが、この男だ。プロ初となるハットトリックを達成した日本代表MF本田圭佑(CSKAモスクワ)は5-0の後半12分にMF中村憲剛と交代。点差も開いたことで、昨年9月に手術した右膝の状態を考慮しての交代だったが、「気を使ってくれたと思うけど、監督には『4点目いきたかった』と言いました」と、交代後のアルベルト・ザッケローニ監督との会話を明かした。本田は本田らしく、どこまでも貪欲だった。

 前半18分、正確なキックで左CKからFW前田遼一の先制点をアシストすると、同21分の追加点は、本田が新たなチャレンジとして意識する裏への飛び出しから生まれた。MF遠藤保仁の絶妙なスルーパスに走り込んでDFの前に体を入れ、GKとの1対1から冷静に左足で流し込んだ。

「文句の付けようのないパスで、僕は走っているだけで、目の前にパスが来た。ヤットさん(遠藤)に感謝しないといけない」。3日のオマーン戦(3-0)に続く2戦連発弾が国際Aマッチ通算10点目。さらに前半30分、遠藤のパスに反応したFW岡崎慎司のシュートのこぼれ球に詰め、3-0と突き放した。

「2点目は結果オーライというか、オカ(岡崎)はシュートを打つタイプだと分かっていたから。あそこでパスは出さない。そういう信頼関係がある。GKが弾くかなと思ってこぼれを狙っていたら、DFに当たってこぼれて来た」。4-0で折り返した後半8分には、PKで試合を決定づける5点目。ハットトリックを達成し、4分後にベンチへ下がった。

 W杯アジア最終予選でのハットトリックは97年9月7日のフランスW杯アジア最終予選・ウズベキスタン戦(6-3)でFW三浦知良が達成して以来の快挙。それでも「取れるだけ取りたいと思っていたし、3点とも味方のプレーに助けられた感がある」と淡々と語った。

 最終予選で6-0の大勝。2試合で9得点を量産し、連勝発進と最高のスタートを切った。「ちょっとできすぎた部分もある。1点目があの時間帯で、セットプレーから(前田)遼一くんが決めてくれた。それが自分たちのペースに持っていけた要因」と冷静に振り返る。前半12分に先制したオマーン戦に続く立ち上がりのゴール。「試合への入り方が何よりよかった。それは文句の付けようがないぐらい」と、前半早い時間の先制点を勝因に挙げた。

 2連勝で敵地のオーストラリア戦に挑む青写真どおりの展開。それでも、本田に慢心や油断はない。「チームの完成度に満足しているか?」と聞かれると、「2試合で話すのは時期尚早」と即答した。「オーストラリア戦では、別の課題が出てくると思う。この2試合、いいところがたくさん出たけど、どこが悪かったか見つめ直すことこそ、勝ったときは大事。完成度についても満足してはいけない」。ザックジャパンの真価が問われるのは12日のオーストラリア戦(ブリスベン)。ハットトリックも忘れ、本田の視線は早くも4日後に向いている。

(取材・文 西山紘平)

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