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[総体]目標は日本一だけ!多彩な武器で苦戦乗り越えた青森山田が3回戦進出!

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[7.30 全国高校総体2回戦 青森山田3-0帝京長岡 千曲市サッカー場]

 平成24年度全国高校総合体育大会「2012北信越かがやき総体」サッカー競技(長野)は30日に2回戦を行い、7年ぶりの日本一を目指す青森山田(青森)が帝京長岡(新潟)に3-0で快勝。武南(埼玉2)と対戦する3回戦へ進出した。

「優勝しなきゃ意味がない。でもまずは一つひとつ地に足をつけて頑張っていきたい」。09年度全国準V時の主将で現在流通経済大でプレーする兄・伸志同様、主将で10番を背負うMF椎名政志(3年)が言葉に力を込めた。目標は日本一だけ。青森山田が瀬戸内(広島)との初戦(29日)に続いて厳しい試合を強いられながらも、攻守に強さを発揮して16強入りを果たした。

「立ち上がりはプレッシャーが甘かった。前半は0-1で折り返してもおかしくなかった」と青森山田の黒田剛監督も指摘していたが、序盤流れをつかんでいたのはこの日が初戦となる帝京長岡だった。アルビレックス新潟特別指定選手のMF小塚和季を中心にワンタッチでボールを動かす帝京長岡は、青森山田のDFを振り回してボールをゴール前まで運んでくる。20分にはオフサイドの判定によってノーゴールとなったものの、小塚が左足で絶妙なスルーパスを通し、22分にはMF柳雄太郎(2年)からのパスを受けたFW永井勝輝(3年)がやや空いたCB間へ入り込んで決定的な右足シュート。青森山田はGK野坂浩亮(3年)のビッグセーブによって救われたものの、なかなか流れを引き寄せることができなかった。

 それでもこの場面を境に明らかにプレッシャーと球際が厳しくなった青森山田は、今年のチームの大きな武器であるセットプレーから先制点を奪う。前半29分、右CK後の流れからMF池上丈二(3年)がクロスボールを入れるとファーサイドのCB山田将之(3年)が折り返し、最後はGKとディフェンスラインとの間に飛び込んだSB中島優(2年)が先制ゴールを押し込んだ。

 貴重な一発で試合の流れは完全に青森山田へと傾いた。前半33分に椎名の放った強烈な左足シュートは帝京長岡GK亀井照太(2年)の好守によって阻まれたが後半7分、中島のサイドチェンジから右中間の池上が右前方へスルーパスを送ると、自陣からマークを振り切って走りこんだ11年U-17W杯日本代表の注目SB室屋成(3年)がダイレクトでラストパス。これを中央のFW林雄紀(3年)が頭でゴールへと突き刺して2-0とした。

「さすが、山田」と言い切れるような、正確な技術と運動量で奪った大きな2点目。帝京長岡はMF星田朋弥(3年)や永井が決定機を迎えるも、シュートが枠を外れるなど追撃することができない。逆に青森山田は30分、相手の不用意なサイドチェンジをインターセプトしたFW飯島諒(2年)がそのままPAまで切れ込みラストパス。これをFW李相赫(2年)が左足ダイレクトで合わせて3-0で試合を終えた。

 苦しい戦いを乗り越えた青森山田は182cmCB縣翔平(3年)と184cmCB山田が中央に並ぶ守備陣の奮闘も大きな勝因だった。黒田監督が「苦しいときに前に一歩出すところだったり、大分良かったと思う」と讃え、椎名が「相手は初戦ということもあって、勢い持ってくると思っていた。自分達から走り出そうと思っていたんですけど、連戦で思った以上に足が重くて流れをつかまれてしまった。きょうは後ろが良く頑張ってくれたと思います」と語ったように、この2人は信頼度が高く、非常に堅い。野坂や室屋、中島を含めた守備陣はゴール前で相手よりも一歩早くボールに反応し、苦しい時間帯でゴールを許さず。そしてセットプレーの強さ、攻守の切り替えの速さなど、多彩な武器によって青森山田はライバルとの差を生み出した。

「プレミアリーグでJリーグのクラブと戦えているし、自分達が全国でも戦えると実感している。実際大会に入っても勝ち上がることができて、自分達が全国で通用すると感じている」と語る室屋は「(自分にとっては)最後の年。自分が山田に来て2年続けて1回戦で負けている。勝ちたいという気持ちが強かった。連勝できて嬉しいですね。このチームで日本一になりたいということしか考えていない」。3回戦の相手は昨年の初戦で苦杯を喫している武南。雪辱して目標の日本一へ一歩前進する。

[写真]前半29分、青森山田DF中島が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)

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