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大儀見&大野が2トップ弾!!なでしこがブラジル下し初のメダルに王手

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[8.3 ロンドン五輪準々決勝 日本2-0ブラジル カーディフ]

 メダルに王手だ!! 日本女子代表(なでしこジャパン)は3日、ロンドン五輪準々決勝でブラジル女子代表と対戦し、2-0で快勝した。立ち上がりの劣勢をしのいだ日本は前半27分、FW大儀見優季(旧姓・永里)の今大会初ゴールで先制。後半28分にもFW大野忍が今大会初ゴールとなる追加点を決めた。守備陣も最後まで高い集中力を保ち、ブラジルの反撃を完封。2大会連続のベスト4進出を決めた日本は五輪初のメダルを懸け、6日の準決勝(ウェンブリー)でフランスと対戦する。

 日本はターンオーバーして臨んだ7月31日の南アフリカ戦(0-0)から先発7人を入れ替え、GK福元美穂、DF鮫島彩、MF阪口夢穂、MF澤穂希、MF川澄奈穂美、大野、大儀見が2試合ぶりに先発。7月25日のカナダ戦(2-1)、28日のスウェーデン戦(0-0)と同じベストメンバーに戻した。
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 開始1分、大野が左サイドからクロスボールを上げると、DFがクリアしたこぼれ球に大野が自ら詰め、右足でボレーシュート。GKに弾かれたが、立ち上がり早々にシュートシーンをつくった。しかし、その後は2大会連続銀メダリストの“サッカー王国”が出足よく試合の主導権を握った。

 中盤の競り合いでことごとく競り勝つブラジルはセカンドボールも拾って日本陣内に攻め込んだ。前半10分過ぎには3連続CKを獲得するなど日本を押し込むが、日本もGK福元の好セーブなどで嫌な時間帯を耐え続けた。

 ブラジルは前半17分、左SBロサナのアーリークロスにMFフォルミガが競り合い、こぼれ球をMFレナタ・コスタがシュート。決定的な形だったが、ゴール上に外れた。同20分にもフォルミガがFWマルタとのワンツーから右足ダイレクトで強烈なミドルシュート。これは枠を捉えていたが、GK福元が鋭い反応で弾き出した。

 前半の20分間は劣勢を強いられた日本だが、ここをしのいだことで徐々にチャンスをつくりだす。前半23分、澤のスルーパスから川澄がPA内左サイドに抜け出し、マイナスのクロス。大儀見のシュートのこぼれ球に大野が詰めたが、シュートは浮いてしまった。その直後にも川澄のサイドチェンジを受けたMF宮間あやが右サイドから中に切れ込み、左足でシュート。しかし、ピッチに足を滑らせてしまい、枠を捉え切れなかった。

 ブラジルの守備の不安定さを突き、立て続けに決定機をつくった日本は前半26分にも宮間のFKを大儀見がバックヘッドで狙う。ゴールを空けて飛び出したGKの前で触ったが、ヘディングシュートは無人のゴールに上に外れた。それでも、徐々にリズムをつかんだ日本はその流れのまま先制に成功する。

 前半27分、中盤左サイドでFKを獲得すると、澤が素早いリスタートで前線に長いスルーパス。大野は触れなかったが、タッチライン際から走り込んだ大儀見がフリーでゴール前に抜け出す。GKと1対1の絶好機。冷静に右足でゴール右隅に流し込んだ。大儀見の今大会初ゴール。なでしこが3試合ぶりの得点でリードを奪った。

 その後は反撃に出るブラジルが再び押し返すが、日本の守備陣も粘り強く跳ね返す。後半40分、鮫島のバックパスが短くなり、FWクリティアネに詰められた場面もGK福元が間一髪クリアし、難を逃れた。前半はそのまま1-0で終了。日本が理想的な試合運びで前半を折り返した。

 後半立ち上がりもブラジルがボールポゼッションを高め、日本陣内でゲームを進めるが、日本の守備組織は崩れない。局面局面で数的優位をつくり、流れの中ではブラジルにチャンスをつくらせなかった。ブラジルは後半24分、ゴール前のいい位置でFKを獲得。マルタが左足で直接狙ったが、わずかにゴール右へ外れた。

 ブラジルがボールを保持する時間が続き、後半18分にはマルタのサイドチェンジから左サイドを抜け出したロサナのクロスにクリティアネがヘディングで合わせる。ようやく流れの中で決定機をつくったが、シュートはゴール上に外れた。日本もカウンターから2点目を狙い、後半19分、中盤で相手のパスミスを奪った川澄が駆け上がり、大儀見がPA内に進入。しかし、ブラジルの体を張ったディフェンスにシュートは打てなかった。

 同点ゴールを目指し攻勢を強めるブラジルに対し、日本も体を張った守備で対抗する。後半24分のマルタのシュートはDF岩清水梓がブロック。ブラジルはクロスボールから攻撃陣の高さで勝負してきたが、しっかりと体を寄せ、自由にヘディングシュートを許さなかった。

 すると後半28分、日本が速攻から待望の追加点を奪う。鮫島のフィードからDFとうまく体を入れ替えた大儀見が左サイドを抜け出すと、前線に大きなサイドチェンジ。PA内右に抜け出した大野は鋭い切り返しでDFをかわし、左足を振り抜いた。シュートはクロスバーを弾いてゴールマウスへ。大野の今大会初ゴールが決まり、2-0とリードを広げた。

 その後のブラジルの反撃にも粘り強く対応するなでしこ。後半40分には大野に代えてFW安藤梢を投入し、最初のカードを切った。日本は最後まで運動量が落ちず、集中力も切らさない。同44分には大儀見に代えてFW高瀬愛実を投入。しっかり時間を使いながら試合を締め、そのまま2-0で逃げ切った。

 2トップそろい踏みのゴールに守備陣は3試合連続の無失点。なでしこが盤石の強さを見せ、2大会連続となるベスト4に駒を進めた。ロンドンのウェンブリースタジアムで行われる準決勝の相手は直前の親善試合で0-2で敗れているフランス。一方、2大会連続準優勝だったブラジルは5大会目の五輪で初めてベスト4を逃した。

(取材・文 西山紘平)

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