beacon

[総理大臣杯]大応援団の声援を力に、流通経済大が逆転日本一!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.17 総理大臣杯決勝 流通経済大3-2明治大 長居]

 17日、第37回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント決勝が長居スタジアム(大阪)で行われた。流通経済大(関東3)と明治大((関東1)が激突した決勝は、流経大が3-2で逆転勝利。07年の第31回大会以来、6年ぶり2回目の優勝を果たした。

 大阪で行われた真夏のファイナルは関東勢同士の対決となった。ここまで1点差、PK戦と接戦を制してきた流経大と、無失点かつ3戦12発と大量得点をあげて勝ち上がってきた明大。今季3度目の対戦となるこのカードは、まさに決勝に相応しい好ゲームとなった。

 先手を取ったのは明大だった。前半9分、MF差波優人(2年=青森山田高)のミドルシュートがこぼれたところをDF小出悠太(1年=市立船橋高)が拾い、最後はFW和泉竜司(2年=市立船橋高)が冷静に沈めて先制。続く11分には、左サイドからMF矢田旭(4年=名古屋U18)が入れたクロスは相手DFにクリアされるも、こぼれ球をMF梅内和磨(4年=F東京U-18)がゴールへと突き刺し2点目を奪う。今大会全試合で得点をあげている梅内の追加点によって、明大は早くも2点のアドバンテージを得た。

 今大会、試合序盤で2点、3点を奪う戦い方をしてきた明大にとって勝利への流れを引き寄せたかと思われたが「2点取られた事で開き直れた。失うものはない、アグレッシブにいこう」という中野雄二監督の言葉の下、流経大の反撃が始まる。前半26分、MF江坂任(3年=神戸弘陵高)が右サイドから切れ込みまずは1点を返す。さらに35分にはDF湯澤聖人(2年=流通経済大柏高)のクロスからFW久保武大(4年=福岡U-18)がゴール前で決定機を迎える。これは明大GK三浦龍輝(3年=F東京U-18)の好セーブにあい、前半アディショナルタイムにセンターライン付近からMF中山雄登(4年=広島ユース)が放ったロングシュートは枠を捉えていたが、三浦にかき出された。

 それでも勢いを持続したまま後半を迎えた流経大が同点に追いつく。3分、MF石井雄輔(4年=流通経済大柏高)が自ら仕掛け、マイナスに折り返したところに詰めた江坂が同点弾を決める。そして後半13分には、中山、石井と繋ぎ、最後は久保が蹴り込んで3点目。この日が誕生日である久保のバースデーゴールで流経大が逆転に成功した。

 明大はミスからのボールロストが増えるなど、攻撃の形を作れず苦しんだ。そして後半23分にDF高橋諒(2年=国見高)が2枚目の警告を受けて退場。数的不利を強いられてしまう。後半30分にFW矢島倫太朗(3年=浦和ユース)のパスから和泉が狙い澄ましたシュートを放つも枠上へ外れるなど、3点目が遠かった。試合はそのまま3-2で終了。大応援団の声援が鳴り響くピッチで、流経大が2度目の栄冠を手にした。

 試合後、流経大の中野監督は「やっぱり応援団の学生たちの力が選手達を動かしたかなと思う」と応援団への思いを口にした。バス5台にも及ぶ応援団は、初戦から決勝まで4年生を中心に相手チームを圧倒する応援でピッチ上の選手達を鼓舞してきた。90分間鳴りやまない声援が優勝の大きな原動力になったことは間違いない。

「今までものすごく優秀な選手を多くひきつれて来たけど、やっぱり全国大会では勝てなかった。今年の4年はJに行くような選手もいないし、中心選手がケガをしているけど、これだけの試合がやれた。それはやはり242人の部員の力が1つになって戦えたのかなと」と中野監督は話す。「スタンドにいる選手の中には、今日ピッチに立っている選手より優秀な選手はいるが、やはり規則を守れないものは断固として出さない」という方針を貫いたが、試合に出られない選手たちは腐ることなく応援に力を注いだ。「優勝した事よりも大応援団をこの大阪のピッチに決勝まで残せた事が嬉しい気持ちでいっぱい」と最後まで応援団への称賛を惜しまなかった。

 真夏に10日間で5試合をこなすタフな戦いを制した流経大。今大会の優勝により、12月に行われる全日本大学選手権の出場権を獲得した。次に迎える全国の舞台は冬。リーグ戦、チーム内でのレギュラー争いを経てさらに成長し、再び頂点を目指す。

(取材・文 北野裕子)
▼関連リンク
【特設ページ】第37回総理大臣杯

TOP