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J2降格の千葉社長は江尻監督の続投を明言、自身の辞任も否定

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[11.8 J1第31節 川崎F3-2千葉 等々力]

 クラブ史上初のJ2降格が決まったジェフユナイテッド千葉の三木博計社長は江尻篤彦監督の去就について「(続投に)変わりはない。彼には“もう1回、最初から(チームを)つくり直すことが責任だ”と言っている」と話し、あらためて続投を明言した。

 7月にミラー前監督の後任として就任した江尻監督はここまでリーグ戦12試合を戦い、未勝利のまま(5分7敗)。J1残留へ立て直すどころか、泥沼にはまっていった。サポーターが納得できるかは未知数だが、三木社長は「長い目で見てもらうしかない。7月に就任して、まだ4ヵ月もたってない。選手は付いてきてくれていると思っている。監督と選手がバラバラに見えたら別のことを考えないといけないが、私の目にはそうは見えていない」と強調した。

 江尻監督が続投要請を受諾したかについては「やってくれると思います」と答えるにとどまったが、指揮官も試合後に「技術の質を上げていかないと勝てないことを3ヵ月で感じた。根気強くやっていかないといけない」と話しており、J2に舞台を変える来季も江尻監督が指揮を執ることになりそうだ。

 そもそも7月に就任した時点で複数年契約を結んだ江尻監督の続投は、結果にかかわらず、既定路線だった。三木社長は「あらかじめJ2に落ちることを前提にしていたわけではない」と言うが、最悪の事態も考慮に入れた上で、長期的なビジョンとして江尻監督に託した。

 4年間で5人の監督がチームの指揮を執り、強化部門トップもこの3年間で3回変わった。継続性がなく、すぐにリセットを押すクラブ体質を反省したものだが、「彼が就任したとき、“江尻流のやり方でいかせてもらう”と話したと思う。それでいくということ」という三木社長の言葉に説得力はない。

 江尻監督に任せれば大丈夫だという根拠は? その質問に「根拠が分かっていれば、誰も苦労しない」と返答に詰まり、未勝利に終わった12試合で得た手応えを聞いても「手応えというより、長い目で見てもらうということ」と話すだけだった。

 下部組織のコーチングスタッフを半数近く解雇するなど、長期的な視野に立ってクラブ改革を押し進めている。それも大事だが、トップチームには短期的なビジョンも必要だ。7月の時点であれば、J1に踏みとどまる。現在であれば、1年でJ1に戻る。果たして、その短期的目標を江尻監督が達成できるのか。

 三木社長は「願望」という言葉も口にしたが、願望は願望にしか過ぎないことは、この12試合が証明したのではないのか。今の時点では、千葉が1年でJ1に戻れると期待できる要素は見当たらない。

 三木社長は自身の責任について「どういう形で責任を取るかにはいろんなやり方がある。辞めるのも1つのやり方だし、頑張って立て直すのも1つのやり方だが、できるだけ早く、2011年には元(J1)に戻すことが大事だと思っている」と強調。「1年でJ1に戻すことが責任の取り方なのか?」と聞かれると、「だと思いますけど」と辞任を否定した。

 シーズン中に三木社長の主導でミラー前監督を解任し、強化部門トップの昼田宗昭前シニアマネジャーも解任した。「自分だけが“J1に上げることが責任の取り方”と言うのはおかしいのでは?」との質問も出たが、「監督、強化責任者、社長の役割分担がある。それに見合った責任の取り方がある」とかわした。

 1965年の日本リーグ創設以降、前身の古河電工時代を含めて唯一2部降格経験のなかった名門の歴史は、45年目にして途絶えてしまった。再びJ1に戻り、輝かしい伝統を取り戻すことはできるのか。すべては三木社長&江尻監督の二人三脚に委ねられることになる。

<写真>サポーターに深々と頭を下げる千葉の江尻監督と選手達
(取材・文 西山紘平)

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