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千葉が涙の降格、1年でのJ1復帰へ巻「それができるクラブ」

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[11.8 J1第31節 川崎F3-2千葉 等々力]

 涙が止まらなかった。エースとして責任を果たせなかった悔しさと、愛するクラブのJ2降格という現実にFW巻誠一郎の目からは涙があふれ出た。

 「この黄色いユニフォームでプロ生活を始めて…」。そこまで言うと、言葉に詰まり、インタビューは一時、中断した。気持ちを落ち着かせ、再び取材に応じた巻は「この黄色いユニフォームを着てプロ生活をスタートさせて、黄色いサポーターとともに成長してきました」とこぼれる涙もぬぐわず、言葉を続けた。

 「もちろん自分のことも大事だけど、まずは黄色いサポーターのことを第一に考えたい。自分のことは最後でいい。ジェフのサポーターに感謝の気持ちでいっぱいです。本当にそれだけです」と、あきらめず最後まで応援してくれたサポーターに感謝した。

 試合終了の瞬間は「頭が真っ白だった」と言う。ピッチに倒れ込むことも、しゃがみ込むこともなかった。呆然と立ち尽くし、目の前の現実をなかなか受け入れられなかった。試合後はゴール裏のサポーターの下へ選手、スタッフ全員で挨拶に向かった。「このメンバーで1年でJ1に戻ろう!」というサポーターの声が響き渡った。

 「残り3試合を全力で戦って、いいパフォーマンスを見せて、天皇杯も上に行く。ジェフのユニフォームを着る以上はプライドを持って、戦いたい。まずは今年いっぱい全力を出し切ること。それが僕らの責任」

 リーグ戦残り3試合、そして天皇杯。今シーズンの残された戦いで「意地を見せます」と力を込めた。そして、J2での戦いとなる来年については……。「今は残りのシーズンのことしか考えられない」と去就について明言は避けたが、巻の性格を考えれば、移籍は考えられない。「1年でのJ1復帰? チームとして団結して。それができるクラブだと思います」とも話していた。逃げ出すことはできない。1年後、今度はうれし涙を流すためにも。

<写真>唇をかみしめ、必死に涙をこらえる千葉のFW巻誠一郎

(取材・文 西山紘平)

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