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ナビスコショック振り払った!川崎Fが「森のための勝利」で首位を死守

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[11.8 J1第31節 川崎F3-2千葉 等々力]

 「自分たちの立場をわきまえない軽率な行動を取ってしまい、申し訳ありませんでした」。試合後のヒーローインタビューでMF中村憲剛が発した第一声、頭を深々と下げる姿が、川崎フロンターレがいかに異常な状況で試合に臨んでいたかを物語っていた。

 3日のナビスコ杯決勝。F東京に0-2で敗れ、準優勝チームとして臨んだ表彰式での非常識な態度に批判が集まった。クラブは準優勝賞金(5000万円)の返還、武田社長らフロント3人の減俸、さらにはMF森勇介を当面出場停止とする処分を発表。5日には武田社長とともに主将のDF伊藤宏樹、選手会長のDF井川祐輔がJリーグを訪れ、謝罪する事態にまで発展した。

 ピッチ外で巻き起こった騒動に負けず、選手は必死に目の前の試合に集中していた。前半35分に先制点を許す苦しい展開にも、後半10、25分にFWレナチーニョが連続ゴール。後半43分、まさかの同点ゴールを許したが、下を向くことなく、勝ち越しゴールを目指し、後半45分、レナチーニョのハットトリックで勝ち点3をもぎ取った。

 MF谷口博之は足をつり、中村も右内転筋を痛め、ともに試合終盤にピッチを退いた。チームが一丸となり、気力で奪った勝利。殊勲のレナチーニョは「森のための勝利。彼は最後まで一緒にグループとして戦ってくれると思う」と自身の3得点を出場自粛中の森に捧げ、中村も「この1勝はただの1勝じゃない。これをリスタートにして、前を向いて、皆さんに恥じないプレーをしていきたい」と誓った。

 残り3試合。“ナビスコショック”を振り払う勝利で首位の座を死守した川崎Fが、今度こそ悲願のタイトル獲得を成し遂げる。

<写真>勝利を喜ぶ川崎Fの選手達
(取材・文 西山紘平)

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