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[高校MOM109]矢板中央GK三浦拓(2年)_ライバルに勝つため北海道離れた努力の守護神

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.14 全国高校選手権栃木県大会決勝 宇都宮白楊 0-1 矢板中央 栃木グ]

 矢板中央の高橋健二監督がこの日だけでなく「今大会のMVP」と讃えたのは自分を磨くために単身北海道から栃木の強豪へ入学してきたGK三浦拓(2年)だった。

 身長173cmと小柄。だがそのGKの安定感とビッグセーブがチームを救った。前半23分には右サイドから切れ込んできた宇都宮白楊FW渡邊陽太(3年)の左足シュートをワンハンドで弾き返すと、後半は開始早々のセットプレー、スルーパスからのピンチを小さな身体いっぱいに伸ばしてセーブしていく。
 そして後半28分にはDFラインの裏へ飛び出してきたFW関敏史(3年)との1対1を果敢な飛び出しでストップ。決定機を次々と防いでいく守護神が後半38分の劇的な決勝点を呼び寄せた。

 中学時代は北海道函館市のスプレットイーグルというクラブでプレー。小学校時代から北海道選抜にも選ばれていた実力者だ。だが、北海道選抜ではコンサドーレ札幌の下部組織に在籍するGK松原修平(現札幌U-18、U-17日本代表)の控えだった。津軽海峡を渡り本州の高校への進学を決めたのはライバル以上の実力を身につけるため。「北海道では冬にサッカーができない。でも本州の学校ならば雪の多い北海道よりも練習ができると思った。(松原に)差をつけるために矢板中央を選んだ」。寮で生活する現在。チーム練習後に1時間半の居残り練習を行うなど徹底的に自分を磨いてきた。「小さいなら小さいなりの上手さを身につけるため」瞬発力を高め、セーブ技術を鍛えた。
 そして全国を懸けた大一番で好セーブを連発。「インターハイは自分の判断ミスで負けた。ここから本当に努力してきた。今までチームの力になれなかったので力になれたことがうれしい」と表情を緩めた。

 栃木県代表として臨む全国大会へ向けて三浦は「できれば北海道代表と戦いたいですね。全国に矢板中央の名を轟かせたい」ときっぱり。そして「誰か他のGKを目指すのではなく特別なGKになりたい。身長の低いGKのため、身長が低くてもできるところを示したい」と目標を語った。
 チームにとって2年ぶりの全国大会、いつか再戦することを願うライバルと戦うことはできないが、三浦は成長した姿を北海道の旧友・知人たちに示すチャンスを得た。

(取材・文 吉田太郎)

特設:高校サッカー選手権2009

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