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[高校MOM113]八千代MF朝木伴幸(3年)_4強導いた“キャノン砲”

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.23 全国高校選手権千葉県大会準々決勝 千葉敬愛 0-1 八千代 市原]

 「自分が一番びっくりしている」と笑顔で振り返った途中出場MFの“衝撃ゴール”が、10人での戦いを強いられていた八千代を救った。
 後半13分に退場者を出して数的不利に陥った八千代に対し、ここぞとばかりに千葉敬愛は八千代ゴールへと攻め込んでいく。だが守備陣の踏ん張りなど失点を許さずに迎えた後半31分だ。6分前にピッチへと送り出されたばかりのMF朝木伴幸(3年)が八千代を4強へと導く大仕事をしてのけた。

 自ら蹴った右CKは得点には結びつかなかったがこぼれ球をチームメイトがつなぎ、右サイドに残っていた朝木へと再びボールが入る。「コントロールがうまく左足に入った。中途半端にやるとカウンターを受けるのでシュートを。強いボールを蹴れば、何かが起こると。左足のシュートは得意なんで気持ちで蹴った」と振り返る背番号8の左足から放たれた一撃は、まさに“弾丸ライナー”とも言える鋭い軌道を描き、ゴールへと突き刺さった。
 
 会場からどよめきの声も起こったスーパーゴール。頭を抱える千葉敬愛DFの横で両手を突き上げて雄たけびを上げた朝木に、八千代イレブンが一斉に駆け寄る。いつもならばチームメートから「来たな、“一発屋”」と揶揄されるという朝木とそのキャノンショット。だがチームを救ったこの日の一撃にはチームメートも大興奮で、もみくちゃの手荒い祝福を受けたMFは「うれしい。3年間やってきてよかった」。

 強烈な左足を持つ朝木はレギュラーとしてプレーしてきたが、恥骨の疲労骨折により長期離脱。9月に復帰したときにはすでに自分のポジションはなかった。スタメンからは外れたが、それでも全国へ懸ける気持ちは全く変わらなかった。
 0-0の場面での投入となったこの日は「とにかくやってやるしかない。このまま終わりたくない」という気持ちでピッチへ。普段は声を出して鼓舞するタイプではないと言うが気合を入れて声を出し続けた。そして歓喜の一撃。チームにとっても“意外な”ヒーローは「次も」と再びチームに貢献するという強い意気込みで出番を待つ。

(取材・文 吉田太郎)

特設:高校サッカー選手権2009
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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