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[高校MOM161]香川西FW福家勇輝(3年)_総体王者沈める2発

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 香川西 3-2 前橋育英 駒場]

 「3ラインを作って囲い込み、ボールを奪ったら、1つつないで裏を狙う。うちのサッカーじゃないけど、勝つためにショートカウンターを狙った」。

 これが打倒・前橋育英を成し遂げるため、香川西の大浦恭敬監督が考え抜いた策だった。前橋育英は個々の技術が高く、ポゼッションから華麗なコンビネーションを絡めて勝負を仕掛けるチーム。当然のように香川西は防戦一方となり、自陣で亀のように守りを固める時間帯も多かったが、そんな守勢の中で攻撃を託されたのが頼れるエース・福家勇輝(3年)だ。28分に大事なPKを決めると、32分にはファインゴールを叩き込み、2ゴールの活躍で勝利に大きく貢献した。

 福家に与えられた役割、それは味方がわずかな希望を託して蹴り込むボールを懸命に追いかけることだった。そのほとんどは可能性を感じさせないボールだったが、それでも決してあきらめることなく走り続けた。

 そんな苦労が報われたのが32分。前橋育英の守備陣がボールの処理を誤ると、素早く裏に抜け出た福家は「いつもトレーニングで蹴っているコースに打った」とファーサイドを撃ち抜く鮮やかなシュートで3点目を奪う。結局、これが決勝点となり、香川西が昨年の市立船橋戦に続き2年連続でインターハイ王者を撃破することになった。

 次の相手は山梨学院大付(山梨)。「去年の登里さんみたいなスターは今年はいない。球際に負けないとか、数的優位を作るとか、粘り強くやっていくことが大切」と福家。昨年に比べて個の力で劣ることは、誰よりも自分達が一番理解している。まだ全国制覇を口にできる段階ではない。「一戦一戦がんばるだけ」。ひとつでも上を目指すため、香川西はチーム一丸となって戦い続ける。

(取材・文 神谷正明)

特設:高校サッカー選手権2009

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