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[高校MOM172]藤枝明誠GK甲斐透真(3年)_最後の砦が1点死守

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 全国高校選手権3回戦 藤枝明誠 1-0 岐阜工 駒沢]

 全国舞台で発揮しているパフォーマンスは今大会でもトップクラスではないだろうか。藤枝明誠のGK甲斐透真(3年)は再三のビッグセーブでCB増田浩史(3年)が挙げた虎の子の1点を死守。1-0の勝利をもたらした。

 前半37分に岐阜工MF志津野誠司(3年)に放たれた至近距離からのシュートを弾きだすと後半もその研ぎ澄まされた集中力とボールへの執着心は全く衰えない。13分にはゴールラインすれすれでボールをゴールからかき出すと、後半38分にはオフサイドぎりぎりで飛び出したMF名和貴大(3年)との1対1を再びゴールの外へ。田村和彦監督も「最後の砦が踏ん張ってくれた」と80分間守りきった守護神を勝因に挙げていた。

 身体能力の高さを生かした、相手のロングボール主体の攻撃にチームは悩まされた。セカンドボールを次々と拾われ、息つく暇なく攻め続けられた。だが守護神は「向こうは勢いがあった。でも自分が止めればこっちにも勢いが出ると思った」と強気。DFが耐えきれない場面も「準備できていた。余裕はなかったですけど(苦笑)」と決してゴールを許さなかった。
 主力を欠きベストの布陣が組めない中、守護神は徳島商とのPK戦で2本をストップしたほか、国見戦でも好守でチームを勝利へ導くなど、今大会は出色のプレーを見せ続けている。

 現在チームはMF小川哲生主将と左SBの兼子貴(ともに3年)が怪我で欠場中。特に、甲斐にとって小川は小学校時代からのチームメイトでともに三重県から静岡へサッカー留学した仲間だ。その小川は静岡県大会でMVPを獲得する活躍を見せながら、全国大会は足首の故障のために1試合もベンチ入りすることができていない。普段は声を掛け合うことは少ないというが小川は試合後「(甲斐)透真が一番頑張ってくれた」と感謝。甲斐は「小学校から一緒にやってきた。この舞台に立たせてやりたい。一度は一緒に(全国選手権の)ピッチでやってみたい」と復帰間近まで回復してきている主将に期待する。

 同じ下宿先で寝食をともにし誰より長くともにサッカーを続けてきたチームメイトも、大学では別のチームでプレーすることが決まっている。高校最後の舞台で小川ともう一度プレーするためにも。守護神はゴールを守り続ける。

(取材・文 吉田太郎)


特設:高校サッカー選手権2009

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