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[大学MOM54]明治大MF小林裕紀(3年)_“初の勲章”がインカレMVPに

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[大学サッカーマン・オブ・ザ・マッチ]
[1.6 全日本大学選手権決勝 明治大 2-1 福岡大 国立]

 大会MVPに輝いたのは明治大のNo.7、MF小林裕紀(3年=東京Vユース)だった。「ボクはこういう賞をもらったことが小学校の頃からない。他にも活躍選手はいたのに。びっくりした」と照れた。

 「みんなの協力があったから(MVPを)取れた」と謙遜した小林だったが、存在感は絶大だった。特に前半は相手にセカンドボールを奪われる場面が多く、思い通りの攻撃を展開することができなかった。その中で小林が繰り出した“嫌らしい”パスが徐々に相手のリズムを少しずつ崩していった。

 日本代表MF遠藤保仁(G大阪)のプレーを最も参考にしているというMFは、抜群のキープ力と高精度のキックを武器に、SBの裏のスペースやバイタルエリアにわずかにあいたスペースへパスを通し、また常にプレッシャーの少ない場所を見極め、常にフリーでボールを受けて次の攻撃へとつなげていく。中盤の底の位置でのプレーだったが、誰よりも「危険な」存在でい続けた。

 ゴールを奪った2トップやビッグセーブを連発したGK高木駿らヒーローだらけだった明大だが、MVPに選出されたのは攻撃の軸として、そしてバランサーとしてチームを支えた小林だった。チームメイトからの「やっと取ったな」という声は小林の才能とそのプレーを認めているからこそ出たセリフ。小林もかみ締めるように静かにビッグタイトル獲得を喜んだ。

 MVPを獲得したことは自身にとってプラスになると信じている。大学生活最終年となる10年シーズンは「インカレMVP男」として対戦校の厳しいマークを受けることは間違いない。だが、小林は「(インカレMVPということで)相手が向かってきてくれれば、より成長できると思う。それをいなせるようになりたい」と誓った。

 179cmの長身だが、入学したころは「もっと弱くて足も遅かった」(小林)。だが、それを補うために相手よりも走ること、そして技術を磨いてきた。飛びぬけた技術だけに油断することなく自分自身を見つめながら、成長してきたことで得た初めての「勲章」。さらなる成長へ「もっとミスしないようにならないといけないし、もっと前でプレーしなければいけない。もっと長いボールの精度を上げないといけない。もっと決定的な仕事をやらなければならない」。「もっと」「もっと」と向上心の尽きないJ注目の司令塔は、MVPと認められた今大会のプレーをきっかけに、大学最終年にその評価をさらに高める。

(取材・文 吉田太郎)

特設:大学選手権09

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