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【連載】2010Jリーグ新天地での挑戦(1)MF柏木陽介(浦和)

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 日本のシャビ、イニエスタになる。紫から赤へ。広島から浦和レッズに加入したMF柏木陽介は壮大な目標を掲げた。

 世界最高のサッカーを繰り広げるバルセロナ。その中盤を支えるシャビとイニエスタの関係をつくる。入団会見に臨んだ柏木は、日本代表のイエメン遠征でMF山田直輝とそんな話をしていたことを明かした。

 「“シャビとイニエスタ的な感じでやれればいいね”という話はしました」。中盤で精力的に動き回り、スペースをつくり、ボールを呼び込み、さらには決定的なラストパスを出す。柏木&直輝が浦和のシャビ&イニエスタになる。

 山田直はイエメン戦で右足腓骨骨折の重傷を負い、全治3ヵ月と診断された。開幕は絶望だが、「自分が試合に出て、グラウンドで待っていたいと思います」と早期復帰を願い、夢の実現を目指すつもりだ。

 ユースから育った広島を離れるのは「自分の中ですごい苦しい決断だった」という。それでも自分自身をもう一段階ステップアップさせるためには必要な決断だった。

 「これだけ素晴らしい環境の中で、素晴らしいサポーターの皆さんの中でやれることは、自分をさらに成長させてくれる場だと思った」。そう移籍の理由を語ると、ユース代表時代から仲の良かったMF梅崎司にアドバイスをもらっていたことも明かした。

 「“やろうとしているサッカーはすごくいいし、周りからいろいろ言われているかもしれないけど、全然プラスに考えてるから”っていう話を、ウメ(梅崎)も(山田)直輝もしていました。その中でやれるなら、絶対プラスになると思うし、それで直輝やウメとまた一緒にプレーしたいなっていう話もしてました」

 昨季からチームを率いるフィンケ監督は若手を積極的に起用し、目の前のタイトルよりも長期的なビジョンでのチームづくりを重視してきた。それに反発したDF田中マルクス闘莉王が名古屋に移籍。内紛にも見えるチーム事情への不安は、彼らの声で吹き飛んだ。

 「昨年から試合をしていても分かっていましたし、パスサッカーを掲げてやっていると思います。それは広島と似ていて、自分がその中で浦和に入って、どういうサッカーができるかを考えたときに、あまり変わらずに浦和にいい影響をもたらせるのではと思いました。自分にとっても非常にやりやすいサッカーだと思いました」

 生まれ変わろうとしている新生レッズの新たな象徴になる。リスク覚悟で新天地へ飛び込んだ柏木の決断と勇気がどんな結末を迎えるのか。2010年Jリーグ。柏木の挑戦、そして浦和の戦いから目が離せない。

※この連載では10年シーズンに新天地へ移籍した注目選手をJ1の18チームから1人ずつピックアップしていきます(新人選手は除く)

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