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【連載】2010Jリーグ新天地での挑戦(16)MF太田吉彰(仙台)

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 “空白の半年間”が無駄でなかったことを証明する。悔しさをばねに飛躍する。欧州移籍に失敗し、ベガルタ仙台への加入を決意したMF太田吉彰。お披露目となった新加入会見で新たな決意を口にした。

 「手倉森監督から『J1で一緒に頑張ろう』といういいオファーをいただいたので、素晴らしいサポーターの中で頑張りたいという思いが強くなったので移籍をすることに決めました」

 念願の欧州移籍を目指して、09年7月限りで、ユースから所属した愛着ある磐田を退団した。もともと欧州志向が強く、移籍しやすいよう契約を夏で終える内容にしていた。

 「日本代表に呼ばれたとき(07年のアジア杯)から欧州は意識していた。リスクはあるが、このタイミングしかないと思った」。同世代で、電話で連絡を取り合う仲のMF長谷部誠のドイツでの活躍も拍車をかけた。磐田の慰留を振り切り、まだオファーもない中でまさに裸一貫で旅立った。

 単身、ドイツ、フランス、ベルギーなど4カ国6チームの練習に参加するなど“テスト”を受けたが、交渉はまとまらなかった。日本代表にも選出歴がある、右サイドのスペシャリスト。心は折れた。悔しい思いをした。日本を“飛び出した”だけに、男としてこのままでは帰国できない-。そんな複雑な思いが募る中、仙台からオファー。悩んだが、手倉森誠監督の熱い言葉にもう一度、日本で-、仙台を強豪クラブへ-と、新たな目標に据えた。
 
 運命的にも3月6日の開幕の相手は磐田で、それも会場は慣れ親しんだヤマハスタジアムだ。太田は「磐田には負けられません」と力強く言い切った。そもそも、ここ2年、あまりいいシーズンを過ごしていない。08年は右膝前十字靭帯損傷や外国人選手の加入もあり、出場機会が減った。08年はリーグ戦1試合。09年は開幕スタメンこそ勝ち取ったが、不調もあり、途中から先発を外れた。

 もう一度、あの切れ味鋭いドリブル、スピードを復活させ“輝き”を取り戻したい。加入会見では、あの熱い仙台サポーターに対し「(コールは)『よっしー』でお願いします」と、笑みを交えて“要請”した太田。仙台で必ずや復活を遂げ、スタジアムに『よっしー・コール』を何度も響かせるつもりだ。


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※この連載では10年シーズンに新天地へ移籍した注目選手をJ1の18チームから1人ずつピックアップしていきます(新人選手は除く)

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