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日本高校選抜、小谷&大西ゴールで早稲田大破る

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[3.25 練習試合 日本高校選抜 2-0 早稲田大]

 25日、第88回全国高校サッカー選手権の優秀選手から構成された日本高校選抜が大学サッカーの名門、早稲田大と千葉県内で練習試合(30分3本)を行い、DF小谷祐喜(関大一→関西大)とFW大西晃広(香川西)のゴールにより、2-0で勝った。“テストマッチ”とはいえ激しい雨の中で行われた一戦で強豪大学を撃破。日本高校選抜は27日まで千葉県内で合宿を行い、4月1日からのベリンツォーナ国際ユースサッカー大会(スイス)へ向けて渡欧する。

 この日の日本高校選抜は、まだチームに合流していなかったFW黄順旻(神村学園→Kリーグへ)と骨折で遠征不参加となったDF横濱充俊(青森山田)を除く16名のメンバー。4-4-2システムの先発はGKが原田直樹(広島観音→阪南大)で4バックは右からDF平塚拓真(山梨学院→神奈川大)、中田寛人(山梨学院→桃山学院大)、須藤貴郁(矢板中央→平成国際大)、中島龍基(青森山田→関西大)。中盤は碓井鉄平(山梨学院→駒澤大)と柴崎岳(青森山田)が中央に入り、右MFが柳直人(作陽→流通経済大)、左が三田尚希(青森山田)、2トップは赤崎秀平(佐賀東→筑波大)と宮市亮(中京大中京)がコンビを組んだ。

 「裏が赤信号だったら別の方法を探すけど、奪ったらまず裏を狙うことを意識させている」と大浦恭敬監督(香川西)が語ったように、高校選抜の狙いDFラインの背後のスペース。常にスペースを意識しながら試合を進めると、自陣からビルドアップした際もハーフウェーラインを超えた位置から攻撃をスピードアップさせてダイレクトのパス交換からのスルーパスでDFライン裏を強襲した。

 その狙い通り、17分にはDFラインから抜け出した宮市がGKをかわしてシュート。26分には左サイドで得たFKから、機転を利かせた中島のクイックリスタートと宮市の絶妙なスルーによってDFラインの裏へ抜け出した赤崎がGKと1対1となった。
 ただ、ビッグチャンスこそつくったものの、PAまで持ち込んでから放った赤崎のシュートは早大GK菅野一弘(4年=早稲田実高)がビッグセーブ。この後も相手GKの好守に苦しむこととなるが、それでも高校選抜は距離を詰めてくる相手DFをまるでいなして繰り出される柴崎の1タッチパスから青森山田のチームメイトでもある三田や中島がサイドを破るなど、リズムよく攻めていた。

 早大の07年U-17W杯日本代表MF奥井諒(3年=履正社高)に突破を許し、元仙台特別指定選手FW富山貴光(2年=矢板中央高)に反転からのミドルシュートを放たれる場面もあった高校選抜だが「(これまで数回行った)合宿を通してよく成長しているのが分かる」と大浦監督が評価した須藤を中心としたDF陣が無失点に封じ、0-0で1本目を終えた。

 2本目はGKが原田で4バックは右から中田、小谷祐喜(関大一→関西大)、須藤、中島。ダブルボランチは碓井と椎名伸志(青森山田→流通経済大)、右MFが平塚で左が三田。2トップは赤崎と山本大貴(ルーテル学院→駒澤大)の布陣(15分に平塚と三田に代えて右MF・柳、左MF・大西晃広(香川西)を投入。20分には椎名に代えて宮市を投入、中盤をダイヤモンド型に)。8分には椎名のパスをマークを外して受けた赤崎が右足シュート。9分には左サイドを力強くえぐった山本の折り返しから再び赤崎が決定的なシュートへと持ち込んだ。
 なかなか決定機をものにできない高校選抜だったが、守備面が光る。敵陣でボールを奪われた椎名が前線のフォローもあり自らボールを奪い返すと「こういうこと(守備)をやろうよ」とベンチから讃える声が飛び、DF陣も決定的なシュートを打たせなかった。

 碓井が「ガンガンいけていた」と振り返った通り、高校選抜は抜群の運動量を見せる山本らによる献身的なチェイスからやや中盤での展開に時間のかかった早大ボールを引っ掛け、速攻を繰り出した。25分には右サイドを抜け出した早大・野田明弘(4年=広島ユース)のラストパスからFW佐々木絢也(3年=青森山田高)に決定的なシュートを放たれるが高校選抜GK原田が至近距離からのシュートをビッグセーブ。その後クロスバーを叩いたボールを詰められそうになったが、高校選抜は全員でゴールを死守した。

 直後には山本がDF裏へ抜け出し、30分には左サイドを打開した宮市からのラストパスを赤崎がシュート。立て続けにチャンスをつくった高校選抜はロスタイムの32分、ついに先制点を奪う。中央から左サイドへ展開すると大西、山本とつなぎ、最後は山本のラストパスをオーバーラップしていた小谷が「何かアピールしてやろうと思っていた」と右足でゴールへ押し込んだ。

 1―0とリードして迎えた3本目はGKに櫛引政敏(青森山田)を起用し、右から小谷、中田、須藤、三田の4バック。碓井と柴崎をダブルボランチに右が大西で左が柳。宮市と山本の2トップへチェンジした(18分に宮市に代えて平塚を右MFへ投入。大西をトップに)。
 メンバーを大きく交代させフレッシュな早大の前にやや押し込まれる時間帯があった高校選抜。早大はFW皆川翔太(4年=ヴェルディユース)の左足シュートが際どくゴールを襲った。だが、高校選抜は12分に柴崎のパスから柳が抜け出し、19分には同じく柴崎のスルーパスから三田がGKと1対1になる。そして20分には三田の絶妙な左クロスを大西が左足で合わせた。シュートの精度を欠くなどなかなか2点目が奪えなかったがそれでも29分、自陣から小谷を起点に柴崎がDFの背後へボールを落とすと上手く抜け出した大西がそのまま右足でゴールを破り、勝負に決着をつけた。

 2月28日のU-18Jリーグ選抜戦、3月7日の静岡県高校選抜戦と続けて引き分けていただけに、選手たちは勝利に安堵の表情。選手たちに「全国4000校の代表というプライドと自信を持て」というメッセージを送っていた指揮官も「チームになってきた」と表情を緩めていた。

<写真>2本目ロスタイム、先制ゴールを決めた日本高校選抜・小谷(中央)を柳が祝福
(取材・文 吉田太郎)

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