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日本高校選抜、国内最終戦は順天堂大に逆転負け

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[3.26 練習試合 日本高校選抜 1-4 順天堂大]

 27日からの欧州遠征でベリンツォーナ国際ユースサッカー大会(スイス)に出場する日本高校選抜が26日、千葉県内で関東大学1部リーグの順天堂大と練習試合(30分3本)を行った。日本高校選抜は1本目28分にFW山本大貴(ルーテル学院→駒澤大)のゴールで先制したものの、2本目・3本目にそれぞれ2失点し、1-4で逆転負けした。

 欧州遠征後に解散する日本高校選抜にとってこの試合は国内最終戦だった。骨折の影響で遠征不参加となったDF横濱充俊(青森山田)に加えてFW黄順旻(神村学園→Kリーグへ)が未だチームに合流しておらず、チームはこの日も16人のメンバー。連戦の疲れからか前日の早稲田大戦(2-0で勝利)に比べて運動量が落ち、またプレッシャーの速い順大に飲み込まれる形で失点を重ねた。故障者続出によるポジションの適正テストを行ったこともあったがディフェンスが乱れ、選手たちもがっくりと落ち込む敗戦となった。

 布陣はこれまで通りの4-4-2システム。先発はGKが櫛引政敏(青森山田)で4バックは右から平塚拓真(山梨学院→神奈川大)、中田寛人(山梨学院→桃山学院大)、須藤貴郁(矢板中央→平成国際大)、中島龍基(青森山田→関西大)。中盤は碓井鉄平(山梨学院→駒澤大)と椎名伸志(青森山田→流通経済大)が中央に入り、右が柴崎岳(青森山田)で左が三田尚希(青森山田)、2トップは山本大貴(ルーテル学院→駒澤大)と宮市亮(中京大中京)がコンビを組んだ。

 1本目は椎名、三田、中島の青森山田トリオで構成された左サイドでのパス交換などで局面を打開した高校選抜。ただ、順大の堅いDFラインを破ることはできず、逆に連携ミスから失点のピンチを招いた。それでも櫛引の好守など無失点で試合をすすめると28分、カウンターから柴崎が右サイドを約30m独走。背走する順大守備陣のマークを外しながら高校選抜の3選手がゴール前に詰める。そして柴崎のラストパスを中央へ飛び込んだ山本がゴールへ押し込み、先制点を奪った。

 2本目、高校選抜は椎名に代わって赤崎秀平(佐賀東→筑波大)を右MFに投入、柴崎をボランチへ移動させる微調整を施して臨んだ。だがその開始直後、自ら「×」サインを出した平塚が負傷交代。早大戦先制ゴールの小谷祐喜(関大一→関西大)が右SBに入る。この後、中島が左サイドを個人技で突破したほか、山本のミドルシュートなどシュート数を増やした高校選抜だったが、DF陣がタテに速い順大に攻略されてしまう。

 9分、右サイドからのラストパスにマークがズレてしまい、順大FW田内翔太(3年=近大付高)にゴール至近距離から決定的なシュートを放たれる。中盤と最終ラインが間延びしたため、プレッシャーの速い相手にビルドアップすることができず、また開いたスペースを順大に支配され次々と決定的なパスを通された。
 そして16分、順大は直前にピッチに入ったばかりの1年生MF天野純(横浜FMユース)のパスでギャップのできたCB間に入り込んだ前ジュビロ磐田FW岡本達也(4年=磐田ユース)が右に流れながらGKをかわして中央へ折り返し。これに飛び込んだ田内がダイレクトで押し込み、同点に追いついた。

 高校選抜は17分に柳直人(作陽→流通経済大)を左SBへ、大西晃広(香川西)を左MFへ投入。22分には碓井からのパスを受けた赤崎の左足シュートがGKを弾いてゴール右ポストを叩く。そしてGKに原田直樹(広島観音→阪南大)、宮市に代えて中島を左SBへ送り出すと(柳を左MF、大西を右MFへ)、30分には大西の縦パスで抜け出した赤崎が決定的な場面を迎えるがシュートはGKの正面。逆に相手にスルーパスを通されて再三ピンチを迎えると、ロスタイム突入後の34分、順大・天野の右CKを高校選抜DFが痛恨のオウンゴール。好守を連発していた原田もこれはストップすることができなかった。

 須藤が「1本目はミスがなかったが、ボランチとDFラインの間が開いて、意識はしていたけどボールを奪っても前に蹴り出すばかりになってしまった」と反省したが、欧州遠征での連戦を見据えてFWの山本をCBで起用した3本目も流れを変えることができず。13分には自陣で山本がボールを失い失点すると、試合終了間際にもシュートのこぼれ球を田内に詰められて1-4で試合終了を迎えた。

 高校選抜の国内合宿最終戦は4点を失っての敗戦。大浦恭敬監督(香川西)は「つなぐサッカーが特徴の早稲田とタテに速い順大とタイプの違う相手を選んで練習試合を行っていたので、(失点は)想定していたところもある。疲れもあった。ただ選手たちはもっと自分たちがやれると思っていたようだから、がっかりしているけど。それでも、負け方はよくなかったが、失点の理由ははっきりしている。欧州でも前の選手たちは十分やれると思うし、DFから慌てずにボールをつなげるか。チームは合宿を通してよくまとまってきている」と手ごたえを口にした。

 悔しい敗戦を喫したが、選手たちも切り替えてやるだけ。ベリンツォーナ国際ユースサッカー大会での日本高校選抜の成績は2年前が4位で4年前は優勝している。U-17W杯で世界を知る柴崎と宮市に加えて、碓井、椎名らタレント擁する今回も期待は大きい。怪我人の多さなど不安点は多いが、碓井が「目標は優勝」と意気込んだように選手たちは欧州で「JAPAN」を存分にアピールする。

<写真>先制点をアシストした日本高校選抜MF柴崎
(取材・文 吉田太郎)

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