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永井“スーパーゴール”大学日韓戦は1-1ドロー

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[3.28 大学日韓(韓日)定期戦 全日本大学選抜 1-1 全韓国大学選抜 国立]

 全日本大学選抜チームと全韓国大学選抜チームとが対戦するDENSO CUP SOCCER第7回大学日韓(韓日)定期戦が28日、東京・国立競技場で行われた。前半31分に日本のFW永井謙佑(福岡大4年=九州国際大付高、ヴィッセル神戸特別指定選手)が先制ゴールを決めたが、韓国は後半13分に途中出場のMFコ・ムヨル(崇実大)が同点ゴール。90分間で決着のつかなかった試合は延長戦でもスコアが動かず、1-1で引き分けた。なお、大会MVPには永井が選出された。

 「負けなくて良かったな、勝てなくて悔しいという気持ち」。日本の指揮を執った中野雄二監督(流通経済大)は120分間の熱戦をこう振り返ったが、日本はホームチームが過去6戦全勝していた大学日韓戦で、ホーム側として初めて勝利を飾ることができなかった。試合後、選手たちも一様に不満げな表情。シュート数は相手の17本に対し、120分間でわずか7本に終わるなど、内容でも相手を上回ったとは言いがたい試合だった。

 日韓戦へ向けて約2週間の福岡・オーストラリア合宿を行ってきた日本は、4-4-2システムを選択。GKが松本拓也(順天堂大4年=磐田ユース、湘南ベルマーレ特別指定選手)で4バックは右から比嘉祐介(流通経済大3年=流通経済大柏高)、牟田雄祐(福岡大2年=筑陽学園高)、山村和也(流通経済大3年=国見高)、田中雄大(関西大4年=野洲高)が先発した。中盤は山田大記(明治大4年=藤枝東高)と中里崇宏(流通経済大3年=流通経済大柏高)がダブルボランチを努め、右MFが阿部浩之(関西学院大3年=大阪桐蔭高)、左MFが石原卓(中京大2年=中京大中京高、前横浜F・マリノス)。2トップは永井と金園英学(関西大4年=立正大淞南高)がコンビを組んだ。
 U-20日本代表の主力のひとりであるMF河井陽介(慶応義塾大3年=藤枝東高)は左足ふくらはぎ負傷のためベンチからも外れたが、永井、山村と今年日本代表に選出された2人に加え、松本、山田、田中、金園とJ注目の4年生タレントたちがメンバーに名を連ねる“豪華”布陣だった。

 ただ、永井の快足を活かすため、スペースへシンプルにボールを蹴り出した日本に対し、試合を支配したのは韓国。MFチョン・ウリョン(慶煕大)のゲームメイクからキャプテンマークを巻いたMFチャン・ソンリャン(光云大)がダイナミックな動きで前線へ飛び出すなどアグレッシブに攻めていく。そしてサイドからの鋭いクロスで日本ゴールを破ろうとした。
 守備面でも相手を弾き飛ばすかのように激しく間合いを詰めてくる「攻撃的な」韓国に日本は戸惑った。司令塔の山田が「プレスをかいくぐろうとし過ぎた。もっとガツガツいけばよかった」と振り返り、攻撃的SB田中が「SBからゲームメイクすることを目指していたのに、ボールをとられた後のリスクを考えすぎた」とオーバーラップを自重するなど、姿勢が後手になったことで相手に押し込まれてしまった。

 28分に左サイドを崩されかけながらも、田中の好守で封じるなど無失点で試合を進めた日本だが、前半30分に右サイドから仕掛けた比嘉が左足ミドルを放つまでシュートを1本も放つことが出来なかった。それでも前半は“スーパーゴール”により日本がリードして折り返す。決めたのはエース永井だ。
 チーム初シュートの1分後の31分、左サイドで中里、金園とつながれたボールが永井の前方へと送られる。持ち味のスピードでDFのマークを外した永井は左サイドをタテへ加速したまま、PAギリギリの位置から左足でボールをこすり上げた。この数秒後、スタンドをどよめきが包む。永井の左足から放たれたボールはふわりと舞い上がると、GKの頭上を越えてそのまま逆サイドのゴールネットへ吸い込まれたのだ。

 ゴールについて永井は「(シュートではなく)センタリングです(笑)。たまたま。GKの頭を越そうと緩めに上げたら、風に流れてそのまま入った」と振り返ったが、日本は劣勢だった試合をエースの一撃で優位立った。日本は39分に牟田が競り合いでの着地時に負傷し、急遽DF中田智久(中京大3年=中京大中京高、前ヴィッセル神戸)と交代するが、前半45分に山田のスルーパスで抜け出した永井が右サイドから折り返し、金園が右足ダイレクトで決定的なシュートを放つなど良い流れのまま前半を終えた。

 だが、後半は再び韓国ペースに戻されてしまう。日本は7分、10分にスルーパスと相手アタッカーの強引な突破から決定的な場面をつくられる。これはGK松本の好守で封じたが、13分、左サイドからPAへ進入した韓国FWペ・チョンソッ(崇実大)のドリブルにDFが引き付けられ、ゴール前でフリーとなったコ・ムヨルに難なく同点ゴールを奪われてしまった。中野監督が「全体的に中盤の出来が悪かった」と振り返った日本は効果的なパスを出すことができず、中盤省略のロングフィードに頼った展開に。序盤から鋭いキレで脅威となっていた永井、金園もなかなかボールを収めることができない。単調な攻撃を繰り返してはセカンドボールのほとんどを韓国につかまれ、再び攻め込まれた。
 それでも23分にFW林容平(中央大3年=浦和ユース)を左MFへ入れ、30分にDF櫻内渚(関西大3年=作陽高)を右SBへ投入し、流れを変える。櫻内がフリーで攻撃に絡むなど、ワイドを使った攻撃を繰り出しだすと39分に右サイドのスペースを突いた山田の折り返しを永井が右足ボレー。後半ほとんどなかった決定機もつくりだした。

 ただ試合は決着のつかないまま延長戦へ突入した。何とかホームで白星を挙げたい日本は後半終了間際から金園に代えてFW瀬沼優司(筑波大2年=桐光学園高)、延長前半開始からは左SBの比嘉に代えてMF田中裕人(関西大2年=G大阪ユース)を投入。活力を注入する。
 マークをずらされ、決定的なシュートを放たれる場面もあった日本だったが、後半2分に絶好の勝ち越しチャンスを迎える。カウンターから阿部がPA内右サイドへ走りこむ瀬沼へスルーパス。これを瀬沼が右足で撃ちぬくが、シュートは韓国GKイ・ホスンが右足一本で弾き返す。逆に韓国は12分にカウンターから右サイドを突いたDFカン・ミョンホの放ったドライブ気味の左足シュートがゴールを捉えるが、GK松本がバックステップを踏みながら懸命に腕を伸ばしてボールに触れると、ボールをクロスバーを叩いてゴールの外へ。その後、日本は試合終了間際からDF森本良(中京大4年=名古屋U18)を投入し、山村をボランチへ移動させる攻撃型シフトへ変更するが、結果を出すには残り時間が短かすぎた。両守護神が延長戦後半に見せた気迫のセーブにより、決勝ゴールが生まれなかった試合は結局、初の引き分けで幕を下ろした。
 
(取材・文 吉田太郎)

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