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【連載】南アへカウントダウン!(11)稲本、故郷・大阪での活躍を誓う

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南アフリカW杯開幕まであと68日!
[4.4 J1第5節 川崎F2-1F東京 等々力]

 攻守でチームを引っ張って勝利に貢献し、充実の表情を浮かべた。川崎フロンターレのMF稲本潤一はこの日もアンカーに入り、攻守の舵取り役をこなした。J復帰後初ゴールはお預けとなったが、シュートもFW鄭大世の6本に次ぐ4本を放ってみせた。

 「前にスペースがあったので、ドリブルで仕掛けました。連戦の中で足が止まるだろうし、だれかが打開しないといけないと思っていた。最後のシュートの精度を高めたいですね。復帰ゴール? やっぱり枠に飛ばさないとダメですね」

 シュートの話題になると苦笑いを浮かべたが、攻守で抜群の存在感を発揮した。そもそも、3月31日のACLメルボルン・ビクトリー戦のためにオーストラリア遠征から帰ってきたばかり。他の選手は疲労から後半は足が止まる場面もあったが、稲本は「めちゃめちゃしんどいとかはなかった」とサラリといってのけた。そもそも、欧州ではJでは比べ物にならない長距離移動をこなしてきた。こんなの当たり前と、言わんばかりだった。

 勝ち点3に貢献し、充実した状態で7日のセルビア戦を迎える。W杯メンバー入りの可能性は高いが、そもそも、そんな“低い目標”を目指していない。現状では遠藤保仁長谷部誠がややリードしているボランチ陣で、レギュラーを奪うことが目標だ。セルビア戦でアピールを狙っている。

 セルビア戦には起爆剤というか発奮材料がある。「(セルビア戦は長居開催で)大阪ですからね。こっちに帰ってきてから1回も行ってないからね。試合ができるのは楽しみ」。慣れ親しんだ大阪の地。もちろん、恩人や友人など、たくさんの知人がいる。そんな地で無様な姿は見せられない。日本に帰ってきたことが間違いではないということを証明するためにも、試合に出て“凱旋”したい。

 「自分の力を出すだけ。ま、もうW杯まで時間もそんなにないので、個人でどうこうというより、チームとしてどれだけ成熟させられるか。しっかりとコミュニケーションをとって戦いたい。代表でもシュートを意識? そういうのは出していきたいですね」

 言葉からは自覚があふれていた。そもそも昨年12月末のゲキサカインタビュー(詳細)で、自ら「過去W杯、2回の大会に出ているというのは(現在のチームの)フィールドプレーヤーでは僕だけ」と話したほど、欧州各国でプレーし日本代表で戦ってきたプライドを持つ。今回は国内組だけの試合だが、代表生き残りといわず一気にレギュラー奪取へ。故郷・大阪の地で実力を見せつける。
 
<写真>スライディングタックルをする川崎F・MF稲本(20番)
(取材・文 近藤安弘)
※今連載ではJリーグ取材時にW杯を目指す日本代表選手を取り上げていきます

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