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[C☆voice_3]順天堂大FW岡本達也「ジュビロに恩返ししたい」

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 大学サッカー界の注目選手にその時どきの課題や目標について聞く新連載「College star voice」。第3回は今年、関東1部リーグに復帰した順天堂大のエースストライカー、FW岡本達也選手(4年=磐田ユース)だ。かつてU-16、U-18日本代表に名を連ね、ジュビロ磐田ユースから磐田のトップチームへ昇格。1年目から天皇杯出場も果たしたストライカーは戦力外通告を経て、20歳で順天堂大進学を決意した。Jの舞台で躍動することを夢見て再スタートを切ったFWは1年目の天皇杯で仙台から2ゴールを挙げ、古巣・磐田からもゴールを奪う“恩返し”。強烈なインパクトを残したが、2年時にチームは2部降格するなど、大学リーグでは納得のいく結果を残すことができていない。彼にとって「大学サッカーの集大成」となる今年への思いとは。


―いよいよ大学4年目。これまでを振り返ると?
「もっとやらなければいけなかったなと。個人的な目標としていたユニバ(ユニバーシアード)にも出られなかったし、2部にも落ちてしまった。結果だけみると物足りなかった」

―Jクラブでプレーした後、大学進学という選択は当時勇気ある決断だったと思うけれど?
「大学に進学してよかったです。大げさに言うと、自分は人生得をしていると思う。ユース、プロとやって来て、試合に出る、出ないのところでしかサッカーを見ることができなかった。強いチームにしかいなかったので、自分のサッカーに対する考えも偏っていた部分があったかもしれません。ただ、大学に進学したことで、サッカーにどのような素晴らしさがあって、また、どうすれば自分がもっと上手くなるのか、ということを見ることができた。サッカーが好きになりました。これは順天に来たからこそ、学ぶことができたことだと感じています。
 例えば、サッカーで勝つためにはどういうところで勝っていくのか分かっているつもりだった。大学で学んだのは人間関係やつながりというものがとても大事なんだなと。試合でいい結果を出すためには人と人とのつながりが大事だと思った。これは本当に深い。できたと思っていても上辺だけだったり。
 人と人とが深い意識の部分で感じあえれば、個の差を埋めることもできる。本当に強いチームと言うのは技術面で相手を上回っていると同時に、そういう意識部分のつながりも強く持っていなければいけないと思う。アントラーズはその両面を持っているから、最後のところで勝ち切ったりできるんじゃないですか」

―大学進学はプラスだったと?
「大学に入って勉強できたことが自分を成長させるためのプラスになっている。ボクはスポーツ健康科学部なんですけれど、運動生理学とか学べて、自分で筋トレメニュー作ったり、自分の力を最大限発揮するためには、もっと上手くなるためにはどうすればいいのか知ることができた。
 どのようなトレーニングをするか考える上で自分が持っている感覚は大事だし、本当に自分に合ったメニューというは自分で考えるしかない。ボクは自分自身でトレーニングメニューを考えるようになって、また自分を引き出すことができるようになったと思う。以前よりも、今が一番上手くなっていると言えると思います」

―チームとしては結果が出ずに昨年は2部でのプレーとなった。
「2年目というのは悩んだ年で、チームが上手くいかなくて自分の良さを見失っていました。点を取ることにこだわらなければならなかったのに、いろいろなことを自分がやってしまおうと考えてしまっていた。結果、自分自身も満足いく結果を残せず、チームも2部降格。ただ、自分を見つめなおして、点にこだわった結果、昨年は18ゴールを決めることができた」

―なんでもできるオールマイティなイメージがあるけど?
「全体的になんでもできるタイプだとは思うけど、意識がブレていました。自分は『ゴール前で点取れます』と言いたいし、昨年この考えがはっきりしたのは大きかったと思います」

―さて4年目のシーズンへ向けて?
「ボクは大学で『サッカーは楽しい』ということを感じられた。後輩にはまずそのような部分を伝えていきたいですね。(2年ぶりとなる)1部の大学は強い。できないとは思っていないけど、楽な試合はひとつもないと思う。自分たちのスタイルはみんなでボールを奪って早く攻めるということ。(対等に戦うためには)この精度と頻度をどれだけ出せるか。
 個人的にはもう1回Jにチャレンジしたいということは変わらない。(アピールするために)ゴールを取るところ、結果にこだわりたい。10点以上。そしてインカレ(出場)圏内に入りたいです」

―やはりスカウトの目も気になる?
「気にならないことはないけど、今は自分のプレーをよくしようというこだわりしかない。自分が結果を出すことも重要だけど、そればかりになるとチームメイトに伝わってしまうし、バラバラになってしまう。だから(スカウトに)いいプレーを見せようということが第一に来ることはないです」

―Jにいけばジュビロはライバルに?
「待ってくれているサポーターもいるし、ボクはジュビロに恩返ししたい。ジュビロには小学生の頃から育ててもらって感謝している。ボクの人生はジュビロで得たものが多いので、感謝してもしきれない。大学卒業してすぐにジュビロに戻ることはできないかもしれないですけど、Jに入って活躍すれば、いつかは戻ることができると信じています」

10日の関東1部L開幕戦では中央大と激突。チームの先頭に立って戦う背番号9に注目だ。

(取材・文 吉田太郎)

▽過去の連載
1.明治大MF山田大記
2.流通経済大DF山村和也
[大学サッカー]

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