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鄭大世が内紛危機の冷や冷やPK「目の前が白黒に見えた」

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[4.24 J1第8節 川崎F3-0神戸 等々力]

 「蹴らせてよ!」「なんで!?」-。PKの場面で、鄭大世とレナチーニョの口論が始まる。中村憲剛が仲裁に入り何とか収まったのだが…。川崎フロンターレのFW鄭大世が内紛に発展するかもしれない? 冷や冷やもののPKを決めた。

 2-0の後半33分、自らが倒されて得たPKを、右ポスト内側に当てながら何とかゴールイン。「あぶねーっと思った。(ポストに当たった)一瞬、目の前が白黒の映像に見えた。あれで外していたら文句を言われてたよ」と振り返った通り、話はそんなに“単純”なものではなかったのだ。

 本来、川崎FのPKキッカーの一番手はレナチーニョだ。この日の1点目のPKも、黒津が奪ったものだが、キッカーは、前節の浦和戦で外していたにも関わらず、レナチーニョが務めた。後半28分の“問題”の場面も、レナチーニョがボールに歩み寄り、蹴ろうとしていた。しかし、無得点だった鄭大世が「2回目は俺でしょ。蹴らせてよ」と懇願。レナチーニョは少し怒り気味で、顔をそむけ少し怒りを見せたほどだった。

 川崎Fは昨年10月の大宮戦で、鄭大世とジュニーニョがPKキッカーの“序列”で内輪モメを起こしている(詳細は下段に紹介)。それだけに、周囲は“事件再発”かと騒然となったが、これには“裏話”があった。

 試合前日、2人は居残りでPKの練習を行ったが、そこで鄭大世がレナチーニョに提案した。

 鄭大世 「1回目を蹴った後、2回目は俺に蹴らせてよ」

 レナチーニョ 「分かったよ」

 こんな約束が交わされていたそうだが、レナチーニョは、自分が外してしまった場合のみのルール適用だと思っていたという。1回目を成功させているので、2回目も自分だと思い、いつも通り、キッカーに名乗り出た。鄭大世の言い分は“1回目を決めたのだから、約束通り、2回目は蹴らせて。自分が獲ったやつだし”というもの。試合後、ロッカーで話し“和解”したそうだが、冷やりとする場面。もし、鄭大世が外していたらと考えると、ドキドキハラハラものだった。

 そもそも、前半36分に中村憲剛のどんぴしゃCKを外すなどし、ハーフタイムに「憲剛さんからこっぴどく叱られた。お前が決めるか決めないかで、アシスト数が変わるよ。(前半だけで)3はあったと」と冗談交じりに“説教”されたそうで、是が非でもゴールが欲しかったようだ。 

 「(自分で奪ったという)流れ的にもそうだし、きょうゴールできてなかったんで蹴りたかった。これで決められずに終わってたら、FWとして嫌な感じだったと思う」と鄭大世は胸をなでおろした。

 ただこの日、イエローカードをもらい、次節5月1日の湘南戦の出場停止が決まった。もともと28日のACL・北京国安戦も出場停止となっており、2戦連続欠場に。鄭大世は「しっかりシュート練習します」と苦笑いを浮かべていた。

☆昨年のPK内紛問題☆
 川崎Fは昨年10月の大宮戦で、鄭大世とジュニーニョがPKキッカーの“序列”でもめている。この試合で、ジュニーニョが1本目を失敗。その後、鄭大世がPKを奪ったのだが、これをエースに譲らずに鄭が蹴り“ケンカ”に発展。鄭が外したことも、余計に拍車をかけた。最後は、関塚監督を交えての3者会談にまで発展し、和解に至った経緯がある。

<写真>後半33分にPKを蹴る川崎F・FW鄭大世
(取材・文 近藤安弘)

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