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まるで大人と子供…日本は12年ぶりの4連敗でW杯へ

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[6.4 国際親善試合 日本0-2コートジボワール シオン]

 日本代表は4日、スイス・シオンでW杯南アフリカ大会前最後の強化試合を行い、コートジボワールに0-2で敗れた。グループリーグ初戦のカメルーン戦を想定した試合。現在のベストメンバーで臨んだが、前半13分、FWディディエ・ドログバの直接FKからオウンゴールで先制点を許すと、メンバーを入れ替えた後半もFKからDFコロ・トゥレに追加点を決められた。日本は5日夜に南アフリカのベースキャンプ地・ジョージへ移動し、14日のカメルーン戦に向け最後の調整に入る。

 日本は仮想カメルーンを意識し、4-2-3-1のシステムでスタートした。GK川島永嗣、4バックは右から今野泰幸、中澤佑二、田中マルクス闘莉王、長友佑都。中盤は阿部勇樹と遠藤保仁のダブルボランチで、2列目に右から本田圭佑、長谷部誠、大久保嘉人と並び、岡崎慎司が1トップを務めた。

 コートジボワールもほぼベストの布陣。システムは4-3-3でGKブバカル・バリー、4バックは右からギー・デメルコロ・トゥレディディエ・ゾコラ、シアカ・ティエネと並んだ。中盤はアンカーにヤヤ・トゥレ、前めにエマニュエル・エブエ、シェイク・ティオテが位置し、3トップは右からアルナ・ディンダン、ディディエ・ドログバサロモン・カルーだった。

 立ち上がりからコートジボワールの屈強なフィジカルに押される日本。前半8分、エブエの右CKにドログバが飛び込んでヘディングシュートを放った場面では中澤が弾き飛ばされ、しばらくは起き上がれなかった。

 独特の間合いでボールをキープするコートジボワールに対し、日本の選手は飛び込めず、思うようにプレッシャーをかけられない。前半13分にはPAのすぐ外側でファウルを犯し、FKを与えてしまう。

 左45度の位置からのFK。ドログバが直接狙ったシュートは壁に入っていた岡崎に当たると、さらに闘莉王にも当たってボールの軌道が変わり、そのままゴールへ。さすがの川島もこれには反応し切れなかった。

 いきなり先制に成功したコートジボワールだが、直後にアクシデントが襲う。ドログバが闘莉王のファウルを受けた際に右手を負傷。そのまま交代となり、代わって柏や徳島でもプレーしたFWドゥンビア・セイドゥがピッチに入った。

 日本はこのあと徐々に落ち着きを取り戻し、中盤でパスが回る時間もあった。前半21分には大久保がドリブルで切れ込み、シュート。トップ下に入った長谷部は中盤の空いたスペースで上手くボールを呼び込み、パスを散らしていた。前半28分には長谷部が右サイドに展開し、今野がアーリークロス。ゴール前には本田と岡崎の2人が走り込んでいたが、その前でDFにクリアされた。

 コートジボワールは1点取ってからは余裕の試合運び。無理してリスクを冒すことなく、しっかり守ってカウンターで追加点を狙う。前半29分には1本のロングフィードからドゥンビアが抜群のスピードで抜け出す決定機を迎えたが、右足のシュートはわずかにゴール上に浮いた。

 なかなかコートジボワールの守備ブロックを突破できない日本。キャンプで追い込んできた影響か、全体的に運動量が上がらず、体が重そうな選手が目立つ。前半40分、今野からのフィードを岡崎が競ったこぼれ球を本田が左足ボレーで狙うも、ゴール上へ。チャンスらしいチャンスをほとんどつくれないまま、前半の45分間を終えた。

 日本はハーフタイムに3選手を交代。本田、遠藤、阿部が下がり、MF中村俊輔、MF中村憲剛、MF稲本潤一がピッチへ。中盤の構成は長谷部と稲本のダブルボランチ、2列目に右から中村俊、中村憲、大久保に変わった。

 一方、コートジボワールにメンバー変更はなかったが、システムが4-4-2に変化。ヤヤ・トゥレとティオテのダブルボランチで、右にエブエ、左にディダンが張り、前線はドゥンビアとカルーが縦関係の2トップを組んだ。

 後半5分、直接FKのチャンスに中村俊が直接狙うと、際どいシュートが枠内に飛んだが、GKが体を張って抑えた。同10分には岡崎に代わってFW玉田圭司が入った。

 メンバーが変わっても日本は攻撃の形をつくれない。後半16分には闘莉王からのパスを中村俊がトラップミス。カウンターから決定的なピンチを招いたが、ドゥンビアの至近距離からのシュートはGK川島がスーパーセーブで守った。

 ティオテがドリブル中に遊びのリフティングを見せるなど余裕の試合運びを見せるコートジボワールは後半18分、ドゥンビアに代えてMFアブドゥル・カデル・ケイタを投入。日本は同20分、大久保に代わってFW森本貴幸が入り、玉田が左サイドに移った。

 その直後、日本にアクシデントが襲う。今野がディンダンと交錯した際、悪質なタックルで右ひざを負傷。そのまま担架に乗せられ、DF駒野友一に交代した。今野は担架の上で頭を抱え、拳を叩き付けるなど悔しさをあらわにしていた。守備では身体能力の高い相手にも体を張って対応していただけに、W杯への影響が気がかりだ。

 後半31分、相手のパスミスを奪った駒野が前線にフィード。フリーの森本が頭で落としたが、味方はだれも走り込んでいなかった。

 試合を流し気味のコートジボワールに対し、手も足も出ない日本。コートジボワールは後半35分、右後方からのティエネのFKにコロ・トゥレが合わせ、2-0とリードを広げた。

 日本は最後までゴールを奪えないまま、試合終了。0-2の完敗で、12年ぶりとなる国際Aマッチ4連敗を喫した。前回の4連敗はやはり岡田武史監督が率いていた98年。フランスW杯直前のユーゴスラビア戦(0-1)からW杯本大会(アルゼンチンに0-1、クロアチアに0-1、ジャマイカに1-2)までの4連敗だった。

 コンディションを言い訳にできないほど力の差を見せつけられての完敗。まるで大人と子供のような試合内容で、最後まで不安を抱えたまま、W杯へ臨むことになった。

(取材・文 西山紘平)

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