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開催国・南アフリカが先制も…8万4490人が熱狂の開幕戦は1-1ドロー

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[6.11 W杯グループリーグA組 南アフリカ1-1メキシコ サッカーシティ]

 4年に1度のサッカーの祭典、W杯南アフリカ大会がいよいよ開幕!ヨハネスブルクのサッカーシティでは開会セレモニーに続いて地元の南アフリカとメキシコが激突。南アフリカは後半10分、MFシフィウィ・シャバララのゴールで先制したが、メキシコも同34分にDFラファエル・マルケスが同点ゴールを奪い、1-1で引き分けた。

 南アフリカは4-4-2のシステムで、GKイトゥメレング・クーン、4バックは右からシボニソ・ガクサ、アーロン・モコエナ、ボンガニ・クマロ、ルーカス・ズワラと並んだ。中盤はレネイルウェ・レツホロニャネとカギショ・ディクガコイのダブルボランチで、右にテコ・モディセ、左にシフィウィ・シャバララ。スティーブン・ピーナールとカトレゴ・ムフェラが2トップを組んだ。
 メキシコは4-3-3で、GKオスカル・ペレス、4バックは右からパウル・アギラール、リカルド・オソリオ、フランシスコ・ロドリゲス、カルロス・サルシド。ラファエル・マルケスが中盤のアンカーに入り、前めにヘラルド・トラドとエフライン・フアレス。前線は右からジオバニ・ドス・サントスギジェルモ・フランコカルロス・ベラの3トップだった。

 メキシコはアンカーのマルケスがフォアリベロのような役目を担った。攻撃時にはほとんど最終ラインに下がってビルドアップに加わるとともに、両サイドバックを高い位置に押し上げ、3-4-3にシフト。右サイドバックのアギラールは積極的にオーバーラップを仕掛け、南ア守備陣を切り裂いた。

 前半2分、フアレスのスルーパスに抜け出したアギラールがクロス。GKの弾いたこぼれ球をドス・サントスが狙ったが、DFが体を張って防いだ。

 個々の能力ではメキシコが上回り、小気味いいパス回しで試合を優勢に運んでいたが、徐々に南アフリカも対応する。アギラールの上がったスペースでシャバララがパスを呼び込んで起点となり、メキシコの守備陣を揺さぶる。メキシコは3トップの守備の意識が低いため、マルケスが最終ラインに下がると、中盤は完全に数的不利に陥っていた。

 南アフリカは中盤でパスがつながる場面も増え、中央でボールを回すと、サイドにスペースが生まれ、サイドから仕掛けると中央が空くなど、上手くメキシコの穴を突いていった。

 一進一退の攻防となった前半の半ば過ぎ、メキシコにこの試合最初の決定機が訪れる。前半32分、ベラの浮き球のスルーパスからフランコがPA内に進入。胸トラップから右足でシュートを放ったが、GKクーンの好守に阻まれた。前半38分にはトラドの左CKをニアでフランコが頭でつなぎ、逆サイドのベラが押し込んだが、ベラの位置がオフサイド。ゴールネットを揺らしたものの、幻のゴールに終わった。

 立て続けのピンチをしのいだ南アフリカは終盤に4本のCKを獲得するなど先制のチャンスをつかんだが、前半45分、左CKに合わせたディクガコイのヘディングシュートもゴール左に外れ、前半は0-0で折り返した。

 南アフリカはハーフタイムに選手を交代。アギラールとの攻防で後手を踏んでいた左サイドバックのズワラに代えてDFトセポ・マシレラを投入し、守備の安定を図った。

 すると、後半10分、電光石火のカウンターで南アフリカが先制に成功する。中盤からの長いスルーパスにスピードに乗ったシャバララが完全に抜け出すと、PA内左45度から左足を振り抜き、強烈な一撃をゴール右上隅に突き刺した。地鳴りのような歓声とブブゼラの大音響! 開催国の南アフリカが大会第1号となるゴールでリードを奪った。

 メキシコは直後にアギラールに代えてMFアンドレス・グアルダードを投入。フアレスが右サイドバックに回り、グアルダードは中盤の一角に入った。後半15分、ドス・サントスが右サイドからカットインし、左足でシュートを狙うも、GKクーンが好セーブで守った。

 さらにヒートアップする地元の大観衆。南アフリカがボールを奪うだけで大歓声が巻き起こり、耳をつんざくようなブブゼラが鳴り響く。異様な雰囲気に包まれるスタジアム。攻勢を強めたいメキシコだが、後半21分にはマルケスの単純なパスミスからカウンターで決定的なピンチを招く。南アフリカは同25分、カウンターからモディセがPA内に入り込んだが、後方からガクサのプレッシャーを受け、倒れながらシュート。GKに防がれ、PKの笛も鳴らなかった。

 メキシコは後半24分にベラに代えてFWクアウテモク・ブランコ、同28分にフランコに代えてFWハビエル・エルナンデスを立て続けに投入。攻撃の切り札を切って交代枠を使い切り、同点ゴールを目指した。

 そして後半34分、メキシコは左CKのチャンスにブランコのショートコーナーからグアルダードが左クロスを送ると、逆サイドに流れてきたボールをマルケスがトラップ。GKとの1対1から冷静に右足でニアサイドを破り、1-1の同点に追い付いた。

 追い付かれた南アフリカは後半38分、ピーナールに代えてFWバーナード・パーカーをピッチに送り込む。エルナンデスのシュートにはクマロが体を投げ出してブロックするなどメキシコの猛攻にも粘り強く耐え続けた。

 試合終了間際の後半45分、南アフリカに絶好の勝ち越しのチャンスが訪れた。GKクーンのパントキック1本でムフェラが抜群のスピードで抜け出す。頭で前方にトラップし、そのまま左足を振り抜いたが、惜しくもシュートはゴールポストを直撃。絶叫のあとの悲鳴。8万4490人の大歓声もブブゼラも一瞬、鳴り止むほどの決定機だった。

 結局、ロスタイム3分を終えても両チームに2点目は生まれず、1-1のドロー。地元の南アフリカが強敵・メキシコを相手に貴重な勝ち点1をつかみ、31日間に及ぶ熱戦の火ぶたがついに切って落とされた。

<写真>上:南アフリカの先制点を決めたシャバララとムフェラ。下:同点弾を決めたマルケス&喜ぶドスサントス

(取材・文 西山紘平)

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