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本田が決勝弾!8年ぶりのW杯勝利で白星発進!!

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[6.14 W杯グループリーグE組 日本1-0カメルーン フリー・ステイト]

 日本、初戦で勝利!! 日本代表は14日、ブルームフォンテーンのフリー・ステイトでグループリーグ初戦のカメルーン戦に臨み、1-0で勝った。前半39分、MF松井大輔の右クロスからFW本田圭佑が左足でゴールを破り、先制点。虎の子の1点を最後まで守り切り、勝ち点3をつかんだ。日本がW杯で勝ったのは日韓大会の02年6月14日のチュニジア戦(2-0)以来、ちょうど8年ぶり。そして、自国開催以外“アウェー”でのW杯では初めての白星となった。

 日本は19日の第2戦で、この日デンマークを2-0で下したオランダと対戦する。

 日本は4-5-1のシステムで、GK川島永嗣、4バックは右から駒野友一、中澤佑二、田中マルクス闘莉王、長友佑都と並んだ。中盤は阿部勇樹をアンカーに、遠藤保仁、長谷部誠の3人がトリプルボランチを形成。右サイドに松井大輔、左サイドに大久保嘉人が入り、本田圭佑が1トップを務めた。
 カメルーンもアンカーシステムの4-3-3で、GKスレイマヌ・ハミドゥ、4バックは右からステファン・エムビアニコラ・エンクルセバスティアン・バソングベノワ・アス・エコットと並んだ。中盤はジョエル・マティプがアンカーで、前めにジャン・マクンエヨング・エノー。前線は右からサミュエル・エトー、エリック・シュポ・モティン、ピエール・ウェボと並んだ。

 試合は両チームともに様子を見るような静かな立ち上がりとなった。互いに開幕前の強化試合で結果が出ていなかったこともあり、どうやって攻めるのかが見えず、試合は早くもこう着状態となった。

 日本は1トップの本田が中盤に引いて受けることが多く、前線に人がいなくなる時間が長かった。中盤の選手がボールを持っても、パスの出しどころがなく、迷ったあげくにひとつしかないパスコースにボールを出すため、相手も読みやすく、簡単にカットされた。

 カメルーンも前半8分にエトーのスルーパスからウェボがPA内に進入し、ゴール前に折り返したが、モティンがトラップミスしたところを長友がクリア。日本は難を逃れた。

 カメルーンは前半11分、31分と左サイドの深い位置で獲得したFKのチャンスにアス・エコットがいずれも逆サイドへ大きなクロスを送る。GK川島は1回目はボールに触れず、2回目もウェボとの競り合いでボールをこぼすなどヒヤリとさせられた。先発メンバーに190cmを超える選手を3人もそろえるなど長身選手ぞろいのカメルーンは明らかに高さの差を狙ってきていた。

 両チーム合わせて最初のチャンスが生まれたのは前半38分だった。カメルーンはモティンの落としたボールをエノーが右足でシュート。しかし、これはGK正面に飛び、川島がしっかりキャッチした。

 すると直後の前半39分、今度は日本に初めてのシュートチャンスが訪れる。遠藤が右サイドの松井に展開すると、松井は切り返して左足でクロス。ここでカメルーンにミスが出た。右サイドバックのエムビア、右センターバックのヌクルが重なってしまい、ボールは逆サイドでフリーの本田の足元へ流れる。本田はトラップから落ち着いて左足を振り、ゴールネットを揺らした。

 ファーストシュート(公式記録上は前半17分の松井のクロスが初シュートにカウントされた)をゴールにつなげた日本。数少ないチャンスをしっかりとものにし、待望の先制点を奪った。

 1トップという不慣れなポジションで起用された本田だが、その期待にしっかりと応えてみせた。得点後はベンチ前の控え選手の中へ飛び込み、歓喜の抱擁。振り返れば、枠内シュート1本で終わった4日のコートジボワール戦(0-2)後、「レベルの高い試合ではお互いにそんなにチャンスをつくれない。枠に行くときは逆にゴールになる」と話していた。まさにその言葉通り、最初のチャンスでその決定力を見せつけた。

 1-0で折り返した後半立ち上がりの3分、日本は大久保が左サイドからドリブルで突っかけ、ファウルを獲得するなど積極的な入りを見せた。ところが、同4分、カメルーンはエトーが右サイドを個人技で突破。大久保、阿部を巧みに抜き去ると、マイナスの折り返しをフリーのモティンが右足で狙ったが、わずかにゴール左にそれた。

 後半12分のモティンのミドルシュートも枠を外れるなど徐々に焦りの色を見せ始めるカメルーン。同18分、マティプに代えてFWアチール・エマナを投入し、流れを変えようとする。しかし、そのエマナが交代直後に単純なパスミス。なかなかリズムに乗れなかった。

 日本は2点目を取りに行くのか、このまま1点を守るのか。難しい時間帯に差し掛かるが、選手は前への意識が高く、サイドバックも機を見て駆け上がるなど、まずは守備をしながらも2点目を虎視眈々と狙っていた。

 後半24分には運動量の落ち始めた松井に代えてFW岡崎慎司を投入。岡崎が左サイドに入り、大久保が右へ回った。

 カメルーンは後半30分、一気に2選手を代え、3枚の交代カードを使い切った。マクンとモティンが下がり、DFジェレミ・ヌジタップとFWモハマドゥ・イドリスがピッチへ。イドリスは3トップの中央、ジェレミは中盤の右サイドに入った。

 試合はいよいよ終盤へ。日本は後半36分、大久保に代えてFW矢野貴章を投入。高さと運動量のある矢野を右サイドに置いて守備を強化し、逃げ切り態勢に入った。

 その直後、絶好の追加点をチャンスを迎える。右サイドの本田から中央の長谷部へ。長谷部の強烈な右足ミドルがGKの手を弾くと、こぼれ球に岡崎が詰めたが、渾身の左足シュートは左ポストを直撃。惜しくも2点目を奪えなかった。

 4年前の初戦、オーストラリア戦も前半に先制点を奪いながら、残り6分の後半39分から3失点し、屈辱の逆転負けを喫した。日本にとっては悪夢の時間帯。もう2度とあんな思いは味わいたくない。選手は体を張り、集中力を保ち、カメルーンの反撃に耐え続けた。

 パワープレーに打って出るカメルーン。引いて守る日本は最終ラインが下がってしまい、中盤にスペースを空けてしまう。後半41分、フリーで打ったエムビアの強烈なミドルシュートはクロスバーに当たる。救われた日本。同43分、長谷部に代えてMF稲本潤一を投入し、最後のカードを切った。

 ロスタイムは4分。勝ち点3へのカウントダウンに入る中、徐々に日本サポーターの歌声がブブゼラの音を上回っていく。後半48分、右クロスに合わせたウェボのシュートはGK川島が気迫のスーパーセーブ。最後のピンチも新守護神がゴールを死守した。

 そして、試合終了のホイッスル。日本、1-0で勝利! 2大会ぶりのW杯での勝利。大事な大事な一戦で勝ち点3を手にし、2大会ぶりの決勝トーナメント進出へ、まずは大きな一歩を踏み出した!!

<写真>ゴールを決めた後に控え選手のもとへ駆け寄る本田と、それを迎えるチームメイトたち

(取材・文 西山紘平)

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