beacon

ブラジルが2連勝で「死の組」突破、終盤にはカカが退場

このエントリーをはてなブックマークに追加

[6.20 W杯グループリーグG組 ブラジル3-1コートジボワール サッカーシティ]

 W杯南アフリカ大会は20日、大会10日目を迎え、「死の組」と言われるG組の第2戦でブラジルとコートジボワールが激突した。ブラジルは前半25分、FWルイス・ファビアーノのゴールで先制すると、後半5分にもルイス・ファビアーノ、同17分にMFエラーノが加点。コートジボワールも後半34分にFWディディエ・ドログバが1点を返したが、ブラジルが3-1で快勝し、2連勝でグループリーグ突破を決めた。

 ブラジルは2-1で勝った初戦の北朝鮮と同じ先発メンバー。4-2-3-1で、GKジュリオ・セーザル、4バックは右からマイコンルシオフアンミシェル・バストスと並んだ。中盤はフェリペ・メロジウベルト・シウバのダブルボランチで、2列目に右からエラーノカカロビーニョ。1トップはルイス・ファビアーノが務めた。
 初戦でポルトガルと0-0の引き分けに終わったコートジボワールは4日の日本戦で右腕を骨折したFWディディエ・ドログバが今大会初先発を果たした。システムは4-3-3で、GKブバカル・バリー、4バックは右からギー・デメルコロ・トゥレディディエ・ゾコラシアカ・ティエネ。中盤はヤヤ・トゥレがアンカーで、右にエマニュエル・エブエ、左にイスマイル・ティオテが入り、前線は右からアルナ・ディンダン、ドログバ、サロモン・カルーの3トップだった。

 ブラジルは試合開始45秒、ロビーニョがいきなりのミドルシュート。積極的な姿勢を見せたが、コートジボワールの組織的な守備に苦しめられた。

 早い寄せと厳しいチェックでブラジルのパス回しを封じるコートジボワール。特にトップ下のカカには厳しいマークが付き、前半7分過ぎには2度続けてボールを奪われ、速攻のピンチを招いた。

 ボール際の1対1でもことごとくコートジボワールが競り勝ち、ブラジルは思うように攻撃を組み立てられない。カカがらしくないパスミスを見せるシーンもあり、徐々に試合の流れはコートジボワールに傾きかけていた。

 ところが、一発の力を持っているのがブラジルだ。前半25分、ロビーニョ、ルイス・ファビアーノ、カカと細かくつないでゴールに迫ると、カカがドリブルでひとりかわしてスルーパス。このリターンパスに抜け出したルイス・ファビアーノがPA内右サイドの角度のない位置から豪快に右足を振り抜き、ゴール右上隅に突き刺した。

 ワンチャンスをしっかりとゴールにつなげたブラジルはこれで落ち着きを取り戻し、ボール支配率を高め、コートジボワールを押し込んでいく。しかし、前半35分には狙い澄ました大きなサイドチェンジが受け手のトラップミスでタッチラインを割るシーンが2度続く。W杯公式球「ジャブラニ」の影響か、ロングキックが高地でぶれるのか、世界最高の技術を持つブラジル選手にもミスが増え、追加点のチャンスをつかめなかった。

 反撃を狙うコートジボワールは前半38分にディンダンがミドルシュートを打ったが、ブラジルの堅守を崩すことができないまま、前半を折り返した。

 1点リードで折り返した後半立ち上がりの5分、ブラジルが試合の流れを決定付けるゴールを奪った。GKからのロングキックがバウンドしたボールをルイス・ファビアーノが胸トラップでコントロールしながらティエネをかわす。さらにチェックに来たゾコラをボールを浮かしてかわすと、そのままリフティングするようにしながら今度はコロ・トゥレもかわし、最後は胸トラップでボールを落として左足ボレー。鮮やかな個人技で追加点を決め、2-0とリードを広げた。

 コートジボワールは後半9分、ディンダンの右クロスをファーサイドのドログバがヘディングで狙うもゴール右へ。ようやくドログバにシュートが出ると、その直後にディンダンに代えてMFジェルビーニョを投入。なんとか流れを変えようとした。

 しかし、前がかりになるコートジボワールに対し、ブラジルが速攻からチャンスをつくっていく。後半17分にはPA内でカカがロビーニョとワンツー。カカのシュートはGKがなんとか弾いたが、その直後、左サイドでパスを受けたカカがドリブルで深い位置まで進入し、ゴール前に折り返すと、逆サイドから走り込んだエラーノが左足で流し込み、3-0とした。

 この直後にブラジルにアクシデント。後半20分、2戦連続ゴールのエラーノが右すねに足裏のタックルを受け、負傷。そのまま担架で運び出され、ダニエウ・アウベスとの交代を余儀なくされた。

 あとのなくなったコートジボワールは後半23分にカルーに代えてFWアブドゥル・カデル・ケイタ、同27分にエブエに代わってMFロマリッチを投入。そのロマニッチは直後に強烈なミドルシュートを放ったが、GKがセーブした。

 そして後半34分、カウンターからジェルビーニョがドリブルで独走。シュートはフアンのブロックに遭ったが、こぼれ球を左サイドで再び拾うと、ヤヤ・トゥレに戻す。ヤヤ・トゥレの左クロスにオフサイドラインぎりぎりから抜け出したドログバがフリーでヘディングシュートを流し込み、ついに1点を返した。

 その後は2点を追うコートジボワールにラフプレーが増え、荒れた展開となった。この流れで冷静さを欠いてしまったのがカカだった。後半40分、相手のファウルに腹を立て、ボールを投げつけてしまい、1枚目の警告。さらに同42分、ボールとは関係ないところで背後からプレッシャーをかけてきたケイタの胸のあたりを右腕ではたいてしまう。倒れ込んで顔を抑えるケイタのリアクションは大げさだったが、主審はカカに2枚目の警告を提示し、退場となった。

 終盤はコートジボワールが10人のブラジルを攻め立てたが、ブラジルもなんとか耐え、そのまま3-1で勝利。2連勝で「死の組」突破を決めた。退場となったカカも、警告2枚による退場のため、グループリーグ最終戦の出場停止で消化される見通し。思わぬ結末となったが、まずは最大の激戦区を無難に切り抜けた。

<写真>エラーノ(右)のゴールが決まり喜ぶカカたちカナリア軍団。しかし、カカは退場に・・・

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
W杯南アフリカ大会ページ

TOP