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勝って決めた!ウルグアイが20年ぶり決勝Tへ、負けたメキシコも2位通過

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[6.22 W杯グループリーグA組 メキシコ0-1ウルグアイ ロイヤル・バフォケング]

 W杯南アフリカ大会は22日、いよいよグループリーグ最終戦に突入。ラステンバーグのロイヤル・バフォケングではA組のメキシコとウルグアイが対戦し、引き分けでも首位通過だったウルグアイが前半43分のFWルイス・スアレスの決勝点で1-0で勝った。これでウルグアイは2勝1分の首位となり、90年のイタリア大会以来、20年ぶりとなる決勝トーナメント進出が決定。敗れたメキシコも2位でグループリーグを突破し、5大会連続の決勝トーナメント進出を果たした。

 メキシコは4-3-3のシステムで、GKオスカル・ペレス、4バックは右からリカルド・オソリオ、フランシスコ・ロドリゲス、エクトル・モレノ、カルロス・サルシドと並んだ。中盤はアンカーにラファエル・マルケスが入り、その前方にヘラルド・トラドとアンドレス・グアルダード。3トップは右からジオバニ・ドス・サントスギジェルモ・フランコ、クアウテモク・ブランコだった。DFエフライン・フアレスが出場停止、FWカルロス・ベラが負傷で欠場。代わってグアルダード、フランコが今大会初先発した。
 ウルグアイは4-3-3で、GKフェルナンド・ムスレラ、4バックは右からマキシミリアーノ・ペレイラディエゴ・ルガーノマウリシオ・ビクトリーノ、ホルヘ・フシレと並んだ。中盤はエジディオ・アレバロがアンカーに入り、右にディエゴ・ペレス、左にアルバロ・ペレイラ。前線はエディンソン・カバーニルイス・スアレスディエゴ・フォルランの3トップだった。センターバックのDFディエゴ・ゴディンが負傷欠場し、ビクトリーノが2試合ぶりに先発した。

 ともにここまで1勝1分の両チームの対戦は、得失点差で上回るウルグアイは引き分けでも1位突破が決定。引き分けなら両チームが仲良く決勝トーナメントに進出できるという精神的に楽な状況での試合だった。

 しかし、立ち上がりから積極的な姿勢を見せたのは、引き分けでも1位突破となるウルグアイの方だった。球際でもファウル覚悟の激しい競り合いを見せ、ボールを奪ってからの切り替えも早い。逆にメキシコはどこか集中力を欠いた立ち上がりだった。

 ウルグアイは前半6分、自陣からロングボールを送ると、メキシコのDFがクリアミス。スアレスがこぼれ球を拾ってゴール前に突進すると、GKもかわしてシュートを狙ったが、わずかにゴール左にそれた。前半12分にはメキシコのロドリゲスからGKへの不用意なバックパスにカバーニが猛然と詰める。GKのキックはカバーニの体に当たり、あわやという場面をつくった。

 立ち上がりの連続ピンチで目を覚ましたか、前半22分にはグアルダードが左足の強烈なミドルシュートを放つ。これは惜しくもクロスバーに弾かれたが、徐々にボール支配率を高めながら、ドス・サントスが積極的なドリブル突破でゴールに迫った。

 先制点を奪ったのはウルグアイだった。前半43分、右サイドのカバーニがクロスを上げると、逆サイドからフリーで駆け上がってきたスアレスが難なくヘディングで流し込んだ。

 試合は異様な雰囲気に包まれていった。同時刻にはブルームフォンテーンで地元の南アフリカとフランスの試合も行われており、もしもメキシコ対ウルグアイの試合で勝敗が付けば、南アフリカがフランスに大勝した場合、大逆転で決勝トーナメント進出が決まる可能性が残っていた。

 南アフリカは前半20分、前半37分に得点。すると、そのたびに「バファナ・バファナ」の奮闘に応えるようにラステンバーグのスタンドでもブブゼラが大音量で鳴り響いた。南アフリカ国旗の旗を振り、飛び跳ねて喜ぶ地元のサポーター。南アフリカが決勝トーナメントに進出するために大事なのは得失点差。自分たちが大量得点で勝ってもいいし、ウルグアイ対メキシコの試合で大差が付いてもいい。ウルグアイが先制点を奪ったことで、ラステンバーグの地元サポーターも味方につけた。

 0-1で折り返した後半、おそらくメキシコの選手たちはロッカールームで南アフリカが2-0で勝っていることを聞いたのだろう。少なくとも監督は把握し、選手にゲキを飛ばしたはず。ハーフタイムにグアルダードに代えてMFパブロ・バレーラを投入し、目の色を変えて同点ゴールを狙いに行った。

 ところが、前がかりになるメキシコに対し、逆にウルグアイがカウンターからチャンスをつくっていく。後半9分にはフォルランの右FKをルガーノがヘディングで合わせるも、GKが好セーブ。こぼれ球を狙ったA・ペレイラのシュートはDFが体でブロックした。

 リズムに乗れないメキシコは後半12分にモレノに代えてMFイスラエル・カストロ、同18分にはブランコに代えてFWハビエル・エルナンデスを投入し、早くも3枚の交代カードを使い切った。マルケスを最終ラインに下げ、攻撃時は3バックの3-4-3になる攻撃的布陣でゴールを目指した。

 後半19分にはバレーラの右クロスからロドリゲスが決定的なヘディングシュートを放つが、わずかにゴール左へ外れた。ウルグアイの組織的で粘り強い守備の前になかなかゴールを奪えないメキシコ。たとえ追い付かれても1位突破できるウルグアイは余裕の試合運びを見せ、メキシコの反撃を封じ込めた。

 結局、試合はそのまま1-0でウルグアイが勝利。A組もう1試合では南アフリカが後半に1失点し、2-1の1点差勝利にとどまったため、得失点差で南アフリカを上回ったメキシコも2位でのグループリーグ突破が決まった。

<写真>20年ぶりの決勝Tを喜ぶウルグアイイレブン

(取材・文 西山紘平)

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