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アメリカ、ドノバンの劇的ロスタイム弾で逆転決勝T。「時が止まっているようだった」

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[6・23 10年W杯GL・C組 アメリカ1-0アルジェリア ロフタス・バースフェルド]

 アメリカがミラクル突破!! 10年W杯は23日、C組とD組がGL最終節を向かえ、ロフタス・バースフェルドではC組3位のアメリカと同4位のアルジェリアが激突した。

 勝たなければ決勝T進出が叶わないアメリカは、0-0で迎えた後半ロスタイムに奇跡を起こした。右サイドを崩してクロス、混戦からのこぼれ球をランドン・ドノバンが押し込んで劇的勝利をつかんだ。この結果、勝ち点を5に伸ばし、総得点でスロベニアを下したイングランドを抜いてC組1位通過を果たした。

 アメリカは4-4-2システムを採用。GKはティム・ハワード、DFラインは右からスティーブ・チェルンドロジェイ・デメリット、ジョナサン・ボーンスタイン、カルロス・ボカネグラが入った。中盤はボランチにマイケル・ブラッドリーモーリス・エドゥ、2列目にクリント・デンプシーランドン・ドノバンが入り、2トップはヘラクレス・ゴメスとジョジー・アルティドールが組んだ。

 対するアルジェリアは、決勝T進出には、スロベニア-イングランド戦の結果次第のうえ、できるだけ大量点をとって勝っておきたい状況だった。システムは3-6-1を採用。GKは元FC琉球のライス・エンボリ、3バックはマジド・ブゲララフィク・ハリシェアンタル・ヤヒアが務めた。中盤はボランチがメフディ・ラセンとハッサン・イェブダ、右MFがフエド・カディル、左MFがナディル・ベルハジ、2列目がカリム・マトムールとカリム・ジアニで、1トップはラフィク・ジェブールが務めた。

 アメリカはクリントン元大統領が応援に駆けつけていた。実力どおり、序盤からアメリカがやや優位に進めたが、最初の決定機はアルジェリアだった。前半6分、縦パスにジェブールが抜け出し、フリーでボレーシュートを放つ。しかしこれは惜しくもバーを直撃。決定機を逃してしまった。

 これでアメリカが息を吹き返す。前半7分、ゴメスがドリブル突破からシュートを放ち、同20分には相手のクリアミスを拾ってゴメスがシュート。こぼれ球をゴメスが折り返し、デンプシーがシュートを決めた。微妙な判定でオフサイドを取られたが、決定機は明らかにアメリカの方が多かった。

 それでもアルジェリアはジェブールが再三突破を試みたり、マトムールやジアニが何度もミドルシュートを放つなどした結果、打ち合いの好ゲームを披露したまた元FC琉球所属のGKライス・エンボリが何度も好セーブを見せて沸かせた。

 後半もアメリカペースで試合が進む。2列目だったデンプシーをFWにいれ、より一層、ゴールを目指した。これが功を奏したのか、何度か決定機を作ったが、シュートはことごとくGKの正面を突き、ゴールが割れなかった。後半も20分が過ぎるころになると、サイドを中心に攻めるアメリカ、カウンターを狙うアルジェリアの図式となり、時間はじりじりと過ぎていく。ともに勝たないといけない一戦の中、誰もが引き分けを予感し始めたが、後半ロスタイムに劇的ゴールが生まれた。

 46分、右サイドからのクロスを、中にいたデンプシーがシュート。一度はGKライス・エンボリが弾いたが、これに詰めていたランドン・ドノバンが右足で押し込み、値千金のゴールを生んだ。歓喜に沸くアメリカ。失意のアルジェリア・・・。アルジェリアはあきらめずゴールを目指したが、ヤヒアが2枚目の警告を受けて退場するなど後味の悪い結果に。昨年のコンフェデ杯準優勝のアメリカが劇的な1-0勝利で、グループ首位通過を果たした。

 試合後のインタビューで、ドノバンは「とにかくこの4年間、長い旅をしてきた。勝利できて興奮しているよ。ゴールのこと? リスクを犯して攻めることが必要だった。ボールが真ん中に抜けてきて、(シュートの瞬間は)時が止まっているようだった」と顔を紅潮させて喜びを語った。

 ブラッドリー監督も「みんなの努力のおかげで、あきらめずに頑張ってくれた。ゴールの瞬間? 自分は見ていないんだよ」とこちらも興奮した様子で試合を振り返った。

 アメリカは2大会ぶりの決勝Tに進出する。同1回戦は26日で、D組の2位チームと対戦する。コンフェデ杯準優勝の実力をどこまで発揮できるのか。かつてサッカー不毛の地といわれたスポーツ大国が、近年では最高位にあたる2002年の8強を超えることができるのか、注目したい。

<写真>劇的勝利に大喜びするアメリカイレブン

(文 近藤安弘)

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