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本田&遠藤が芸術FK!岡崎ダメ押し!日本快勝で決勝T進出!!

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[6.24 W杯グループリーグE組 日本3-1デンマーク ロイヤル・バフォケング]

 鮮やかFK2発! 岡崎ダメ押し! 日本は24日、グループリーグ最終戦でデンマークと対戦。引き分け以上でグループリーグ突破となる一戦は、前半17分にMF本田圭佑が直接FKを叩き込み、先制点を奪うと、同30分にも今度はMF遠藤保仁がFKを直接決めた。後半36分に1点を返されたが、同42分には途中出場のFW岡崎慎司がダメ押しゴール。3-1の快勝で2大会ぶり、自国開催以外では初となる決勝トーナメント進出を決めた。

 日本は過去2戦と同じ先発だったが、システムと選手の配置を変更して試合に入った。GK川島永嗣、駒野友一、中澤佑二、田中マルクス闘莉王、長友佑都の4バックは変わらなかったが、中盤は阿部勇樹と遠藤保仁がダブルボランチを組み、2列目の右に長谷部誠、トップ下に大久保嘉人、左に松井大輔が入る4-2-3-1。1トップはこれまで同様、本田圭佑が務めた。
 デンマークも4-2-3-1で、GKトーマス・ソーレンセン、4バックは右からラース・ヤコブセンペル・クロルドルップダニエル・アッガーシモン・ポウルセンと並んだ。中盤はクリスティアン・ポウルセンがとマルティン・ヨルゲンセンがボランチを組み、2列目に右からデニス・ロンメダール、ヨン・ダール・トマソン、トーマス・カーレンベルグと並び、ニクラス・ベントナーの1トップ。カメルーン戦から先発2人が変わり、出場停止のDFシモン・ケアーに代わりクロルドルップが入り、MFイェスパー・グロンケアに代わってカーレンベルグが2試合ぶりに先発した。

 勝つしかないデンマークはカメルーン戦からシステムを変えてきた。日本は4-3-3で来ることを想定していたか、岡田武史監督がベンチ前からしきりに選手に指示を送る。前半5分には松井を呼び、松井が監督の言葉を長谷部に伝える。同9分には遠藤、同12分にも長友をベンチ前に呼び、何度も選手に直接指示し、対応を急いだ。

 予想通り、前がかりになるデンマーク。日本は後手を踏む形で押し込まれた。前半7分にはS・ポウルセンがカーレンベルグとのワンツーで左サイドを突破。ゴール前のクロスにトマソンが飛び込んだが、わずかに合わなかった。同8分にも右CKからファーサイドのクロルドルップがフリーでヘディングシュートを放ったが、ゴール左へ。日本はひやりとさせられた。

 日本もボールを奪ってからの速攻でチャンスを狙っていた。前半13分、駒野のロングフィードを大久保が左サイドで受け、ゴール前にクロスを入れる。松井が長い距離を走って飛び込んだが、惜しくも届かず、クリアされた。さらに松井のスルーパスから長谷部が抜け出し、右足でシュートを打ったが、わずかにゴール右に外れた。

 デンマークもチャンスをつくり、前半14分、S・ポウルセンのスルーパスに抜け出したトマソンが決定機を迎えるが、シュートはゴール右にそれる。攻守が目まぐるしく変わる激しい展開となった。

 日本はこの前半15分前後にシステムを変えた。ベンチからの岡田監督の指示だったのだろう。阿部をアンカーに置いたトリプルボランチ、松井が右、大久保が左に入る4-3-2-1に戻した。

 すると、その直後だった。前半17分、ゴールまで約30m、右45度の位置でFKを獲得すると、素早く本田がボールを抱える。俺が蹴る。そんな闘志が体中からみなぎっていた。左足で直接狙ったキックはドライブ回転がかかり、壁を越えて急激に落ちた。GKの手をすり抜け、ゴールネットに突き刺さる。先制点。本田は雄叫びをあげ、バックスタンドに陣取る日本サポーターに向かって咆哮した。

 これで2点を取るしかなくなったデンマーク。前半22分にはC・ポウルセンのフィードにトマソンが抜け出し、右足で狙ったが、GK川島がセーブ。徐々に焦りの色を見せ、ミスも目立ち始めた。

 そして前半30分、大久保がゴールほぼ正面の位置でファウルを受け、FKを獲得。ポイントに立つ本田と遠藤。1点目の記憶が消えないGKソーレンセンは本田のキックを警戒してか、日本側から見てかなり左寄りに立っていた。しかし、蹴ったのは本田ではなく、遠藤。右足でまいて蹴ったボールはきれいなカーブを描き、ゴール右上隅に吸い込まれた。右手の人差し指を天に突き上げた遠藤はベンチに向かって猛ダッシュ。歓喜に沸く控え選手の輪の中へ飛び込んだ。

 2-0。3点取られない限り、グループリーグ突破が決まることになった日本は完全にゲームの主導権を握った。前がかりになるデンマークは焦りからかパスの呼吸もチグハグだった。前半34分に早くもヨルゲンセンに代えてMFヤコブ・ポウルセンを投入するが、流れは変わらない。

 日本は高い位置でボールを奪うと、素早いパス回しで相手をいなす。本田が当たり負けしない強靭な強さでタメをつくり、松井が抜群のテクニックでDFを翻弄し、大久保が積極的に仕掛けた。躍動する日本の選手たち。前半44分にはカウンターから松井のスルーパスに右サイドバックの駒野が飛び出し、決定的なシュートを放つ場面までつくった。

 2-0で折り返した後半、あとのないデンマークは長身のベントナーの頭をめがけたシンプルな攻撃を徹底してきた。後半7分にはヤコブセンの右クロスからベントナーが中澤に競り勝ってボールを落とし、トマソンがシュート。決定的な場面だったが、川島が体を張って防いだ。

 日本も守るだけではなかった。速攻に持ち込める場面では素早く攻守を切り替え、人数をかけて相手ゴールに迫る。後半12分には鮮やかなパス交換でデンマーク守備陣を崩し、最後は本田が遠藤とのワンツーでPA内に進入したが、オフサイド。惜しくもゴールにはならなかったが、積極的にダメ押しの3点目を狙いに行った。

 デンマークは後半11分にセンターバックのクロルドルップを下げ、FWソーレン・ラーセンをピッチに送り込む。さらに同18分にはカーレンベルグに代えてMFクリスティアン・エリクセンを投入し、すべての交代枠を使い切った。ボランチのC・ポウルセンが最終ラインをカバーするものの、実質センターバックはアッガーひとりという超攻撃的布陣。ともに194cmのベントナーとラーセンを前線に並べ、パワープレーでゴールを目指した。

 後半23分にはエリクセンが際どいミドルシュートを放ち、同25分には日本のミスからトマソンが決定的なチャンスを迎えたが、シュートミス。日本は2点のリードを保ったまま、終盤に入った。

 日本は後半29分、松井に代えてFW岡崎慎司を投入し、初めてのカードを切る。ロングボールを放り込んでくるデンマークに対し、闘莉王と中澤の両センターバックが体を張って跳ね返し、チーム全員でこぼれ球を拾っていた。

 しかし、徐々に相手のパワープレーに押し込まれ始める日本。後半34分のラーセンのミドルシュートはクロスバーに救われたが、同35分、PA内で長谷部が後方からアッガーを倒し、PKを与えてしまう。PKのキッカーはトマソン。ゴール左を狙ったキックは川島が弾いたものの、前にこぼしたボールを再びトマソンに蹴り込まれた。

 2-1と1点差に迫られた日本だが、たとえ同点に追い付かれてもグループリーグ突破は決まる。デンマークにはまだあと2点が必要。焦りからミスが目立つのは明らかにデンマークの方だった。

 後半42分、左サイドからドリブルで切れ込んだ大久保はボールキープから前線に浮き球のスルーパスを送る。PA内に飛び出した本田は鮮やかな切り返しでDFをかわし、ゴール前に迫ると、前に出てきたGKをあざ笑うように横パス。ゴール前にフリーで待ち構えていた岡崎はワントラップから落ち着いて左足で無人のゴールに流し込んだ。

 3-1とリードを広げ、試合を決定付けた日本。後半43分に大久保に代えてDF今野泰幸、同46分に遠藤に代えてMF稲本潤一を投入し、逃げ切りを図る。デンマークの最後の猛攻にも耐え抜き、試合はそのままタイムアップ。3-1の快勝でデンマークを撃破した日本は2勝1敗の2位でE組を突破。29日の決勝トーナメント1回戦でF組1位のパラグアイと対戦する。

(取材・文 西山紘平)

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