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スペインが逆転の1位突破、10人のチリは敗戦も2位通過

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[6.25 W杯グループリーグH組 チリ1-2スペイン ロフタス・バースフェルド]

 W杯南アフリカ大会は25日、グループリーグ4試合を行い、決勝トーナメントに進出する全16チームが決定した。プレトリアではH組のチリとスペインが対戦。スペインは前半24分にFWダビド・ビジャ、同37分にMFアンドレス・イニエスタが得点を決め、2-1で逃げ切った。2勝1敗としたスペインは得失点差で逆転の1位通過。敗れたチリも2位で通過した。

 MFカルロス・カルモナ、MFマティアス・フェルナンデスが出場停止のチリは4-3-3のシステムで、GKクラウディオ・ブラボ、4バックはガリー・メデル、ワルド・ポンセ、ゴンサロ・ハラ、アルトゥロ・ビダル。中盤はマルコ・エストラーダがアンカーに入り、前めにマウリシオ・イスラジャン・ボセジュール。3トップは右にアレクシス・サンチェス、左にマルク・ゴンサレス、中央にホルヘ・バルディビアが入った。
 対するスペインは引き分け以下ではスイスの結果次第でグループリーグ敗退の可能性もある状況。システムは4-2-3-1で、GKイケル・カシージャス、4バックは右からセルヒオ・ラモスジェラール・ピケカルレス・プジョルホアン・カプデビラと並んだ。中盤はセルヒオ・ブスケツシャビ・アロンソのダブルボランチで、トップ下にシャビ・エルナンデス。右サイドにアンドレス・イニエスタ、左サイドにダビド・ビジャが入り、フェルナンド・トーレスがセンターFWだった。21日のホンジュラス戦(2-0)からはFWヘスス・ナバスが先発から外れ、イニエスタが2試合ぶりに先発した。

 立ち上がり主導権を握っていたのはチリだった。激しいチェックと豊富な運動量でスペインのパス回しを封じ、スペインのお株を奪うようにショートパスをつないで早い攻撃を仕掛けた。

 前半10分には細かいパス交換からバルディビアのスルーパスにボセジュールが右サイドを抜け出し、ゴール前に折り返す。逆サイドからフリーでマルク・ゴンサレスが走り込んだが、シュートは浮かしてしまった。

 チリの勢いに押され、なかなか前線で起点をつくれないスペイン。ところが、意外な形で先制に成功した。シャビ・アロンソのロングフィードからフェルナンド・トーレスがDFラインの背後を突くと、GKがPA外まで飛び出す。GKは一歩早く追い付いたが、タッチラインに蹴り出そうしたクリアが弱くなり、こぼれ球をビジャがダイレクトで左足で蹴り返すと、ボールは無人のゴールへ。約50mのロングシュートが決まり、劣勢のスペインが先制した。

 チリは前半34分、カウンターからボセジュールがドリブルで持ち込み、そのままシュートを放つが、わずかにゴールの枠を外れる。ゴール前に迫る回数はスペインよりも多かったが、なかなかチャンスをものにできなかった。

 すると、前半37分、スペインはフェルナンド・トーレスからイニエスタにつなぎ、左サイドのビジャに展開。ビジャからのリターンパスを受けたイニエスタが右足で流し込み、2点目を奪った。

 このプレーの中でエストラーダがフェルナンド・トーレスの足を踏んだとして、得点後に2枚目の警告を受け、退場処分。2点ビハインドの上、数的不利という窮地に立たされた。

 チリはハーフタイムにバルディビアとマルク・ゴンサレスを下げ、MFロドリゴ・ミジャルとFWエステバン・パレデスを投入。ボセジュールが左サイドに回り、1トップにパレデス。イスラとミジャルのセンターハーフという4-4-1に変更した。

 この選手交代がすばり当たる。後半2分、サンチェスの横パスを受けたミジャルの右足ミドルがDFに当たって軌道が変わり、ゴールマウスへ。10人のチリが1点を返し、1-2と1点差に迫った。

 スペインは後半10分、フェルナンド・トーレスに代えてMFセスク・ファブレガスを投入。ビジャがセンターに入り、イニエスタが左へ。セスクは右サイドに入ったが、流動的に動いてボールに絡み、攻撃を組み立てた。

 1人多いスペインは面白いようにパスをつなぎ、ダメ押しの3点目を狙う。後半15分にはセスクのスルーパスにビジャが抜け出すも、右足のシュートはミートできない。同19分、イニエスタのスルーパスに再びビジャが反応するなど何度となくビジャにパスを通すが、わずかにかみ合わなかった。

 圧倒的にボールを支配しながらパスミスが増え、徐々にリズムを失い、逆にチリのカウンターを受ける場面もあった。チリは後半20分にサンチェスに代えてFWファビアン・オレジャナを投入し、最後のカードを切る。10人になっても高い位置からプレスにいくなど選手の運動量は落ちなかったが、速攻の形がはまらず、時間だけが過ぎて行った。

 H組のもう1試合、スイス対ホンジュラスが0-0のまま終盤に入ったことで、最後はスペインもチリも無理はしなかった。スイスが0-0で終わっても、たとえどちらかに1点が入っても、スペインとチリの突破が決まる。終盤はスペインが中盤とDFラインでボールを回し続け、試合終了のホイッスルを待った。

 逆転で1位突破を果たしたスペインは29日の決勝トーナメント1回戦でポルトガルと対戦することが決定。2位通過のチリは28日にブラジルとの南米対決に臨む。

<写真>健闘を称えあうスペインとチリ

(取材・文 西山紘平)

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