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[高校MOM258]都・駒場FW畠中潤(2年)_開始1分で先制弾の突貫ストライカー

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.26 全国高校総体東京都予選準決勝 都・駒場 4-0 駒澤大学高]

 試合の立ち上がりは、彼の独壇場だった。全国高校総体(8月、沖縄)の出場権をかけた東京都大会の準決勝、都・駒場の2年生FW畠中潤は試合開始1分で先制ゴールをたたき込んだ。相手DFがミスでこぼしたところを見逃さずにボールをさらい、ドリブルで独走するとGKとの1対1を落ち着いて決めた。

 しかし、続けざまの9分に再び訪れたGKとの1対1ではシュートチャンスを逃し、接触プレーの後で倒れ込むと主審からシミュレーションの判定で警告を受けた。山下正人監督が「あいつは、ドリブルでゴリゴリ行って、手を使ってファウルしちゃう奴。あんなに早く先制点が取れるとは思わなかったけど、その次のやつ、接触する前に打てば2点目だったのに。PKじゃなくてシミュレーションもらうんだもんなあ」と苦笑いで振り返った。

 しかし、先制点の場面に限らず、試合を通して畠中のスピードとファイトは生きた。相手の駒澤大学高が押し込み、都・駒場はカウンターを狙う展開の中、ボールを持てば強気に前へ運ぶ姿勢が相手にとって脅威となった。畠中は「先制点の場面はラッキー。自分のできることをやろうと必死だった」と話し、自身のプレースタイルを「体を張って全力で頑張るだけ」と説明した。そのファイトがチームに2点目をもたらした。左サイドからのカウンターに反応し、ストライカーらしくゴール前へ飛び込むと相手と競り合ってつぶれ、ゴール前の混戦を呼び込んだ。こぼれ球をチームメートが押し込み、都・駒場は貴重な追加点で駒澤大学高を突き放した。

 都・駒場は07-08年に同じく都立の三鷹を全国高校選手権のベスト8に導いた山下正人監督が就任して2年目。現2年生は、1年時から山下体制で指導を受ける学年ということになる。畠中は「生活態度を徹底して指導されて、サッカーもよくなったと思う。先生は一言で言うと、勝負師というイメージ。普段はすごくにぎやかで面白いけど、サッカーでは試合に向けての対策とか一発勝負での勝ち方を知っているという感じを受ける。先生の言ったことができれば勝てると思える」と指揮官から多くのものを学ぶ姿勢を見せている。目下の課題はプレー精度の向上と、ともすれば気持ちに逸るプレースタイルでありながらゴール前で落ち着くことに取り組んでいるという。名将の導きで突貫ストライカーがどのような成長を見せていくのか、楽しみだ。

(取材・文 平野貴也)

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