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アフリカ勢最後の砦!ガーナが延長戦制し初の8強入り

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[6.26 W杯決勝トーナメント1回戦 アメリカ1-2(延長)ガーナ ロイヤル・バフォケング]

 W杯南アフリカ大会は26日、いよいよ決勝トーナメントに突入した。ラステンバーグのロイヤル・バフォケング・スタジアムではC組1位のアメリカとD組2位のガーナが対戦。ガーナは前半5分、MFケビン・プリンス・ボアテングが先制点を決めたが、アメリカも後半17分にMFランドン・ドノバンのPKで追い付いた。延長戦にもつれ込んだ激闘は延長前半3分、FWアサモア・ジャンの決勝点でガーナが2-1で競り勝ち、初のベスト8進出を決めた。ガーナは7月2日の準々決勝でウルグアイと対戦する。

 アメリカは4-4-2のシステムで、GKティム・ハワード、4バックは右からスティーブ・チェルンドロジェイ・デメリット、カルロス・ボカネグラ、ジョナサン・ボーンスタイン。中盤はマイケル・ブラッドリーリカルド・クラークのダブルボランチで、右にランドン・ドノバン、左にクリント・デンプシーが入り、ロビー・フィンドリージョジー・アルティドールが2トップを組んだ。
 ガーナは4-3-3で、GKリチャード・キングソン、4バックは右からジョン・ペイントシルジョナサン・メンサージョン・メンサー、ハンス・サルペイと並んだ。中盤はアンソニー・アナンがアンカーに入り、右前にクワドゥオ・アサモア、左前にケビン・プリンス・ボアテング。前線は右からサミュエル・インコームアサモア・ジャンアンドレ・アイェウの3トップだった。

 アフリカ勢で唯一グループリーグを突破したガーナは大観衆の後押しを受け、立ち上がりから積極的に仕掛けた。前半4分、今大会初出場初先発となったインコームが右足でロングシュート。一気にアメリカを押し込むと、前半5分、センターライン付近でパスを受けたボアテングがドリブルで駆け上がる。そのままPA付近まで持ち込むと、迷わず左足を振り抜き、ゴールニアサイドを破った。

 グループリーグではPKによる2点だけだったガーナにとって、流れの中からの今大会初ゴール。早い時間の先制点で勢いに乗り、前半12分にもアイェウの左クロスのこぼれ球をボアテングがミドルシュートを狙う。同18分にはギャンが直接FKでゴールを襲ったが、GKのセーブに阻まれた。

 反撃に出たいアメリカはアルティドールとフィンドリーの2トップやドノバンがなんとか個人技で打開を図るが、ガーナの組織的で粘り強いディフェンスを崩せない。前半31分には早くもボランチのクラークをMFモーリス・エドゥに代えた。

 前半35分、ようやくアメリカがチャンスをつくる。DFのクリアミスを拾ったデンプシーがスルーパス。フィンドリーが完全に抜け出し、GKと1対1の絶好機を迎えたが、GKキングソンが左足でセーブした。

 ガーナはスピードに乗ったカウンターでチャンスをつくり、追加点を伺う。前半37分には決定機。GKからのロングキックが相手DF陣のミスを誘い、そのままゴール前に流れる。アサモアが俊足を生かしてこれに追い付いたが、シュートはGKハワードが好セーブ。前半は1-0のまま折り返した。

 アメリカはハーフタイム、フィンドリーに代えてFWベニー・ファイルハーバーを投入。デンプシーをFWに上げ、ファイルハーバーは中盤の左サイドに入った。この交代で流れが変わる。後半2分、ドノバンの右クロスをアルティドールが落とし、ファイルハーバーが右足アウトサイドで狙ったが、GKキングソンがスーパーセーブ。ゴールを許さなかった。

 人数をかけて押し込むアメリカ、カウンターの切れ味鋭いガーナ。試合は攻守の目まぐるしく変わる激しい展開となった。

 そして後半16分、中央でパスを受けたデンプシーがドリブルでジョン・メンサーの股間を抜き、PA内に進入。思わず後方からジョナサン・メンサーが足を引っ掛けてしまい、アメリカがPKを獲得した。キッカーのドノバンは落ち着いてGKの逆を突き、ゴール右へ蹴り込む。ついにアメリカが同点に追い付いた。

 勢い付くアメリカは前半22分、ドノバンのスルーパスにアルティドールが抜け出すが、GKキングソンがなんとか一瞬早く追い付き、間一髪クリアした。

 ドノバンのいる左サイドからピンチを招いていたガーナは後半28分、サルペイに代えてDFリー・アディを投入。同30分にはインコームの右クロスからギャンがヘディングシュートを放つも、大きく上へ。同33分、ボアテングに代えてMFステファン・アッピアーをピッチに送り込んだ。

 アメリカは後半36分、DFラインのボカネグラがロングフィードにアルティドールがジョン・メンサーと競り合いながら追い付き、体勢を崩しながらも左足でシュート。しかし、惜しくもゴール右に外れた。

 試合は1-1のまま90分間で決着が付かず、延長戦へ突入。アメリカは延長前半開始からアルティドールに代えてFWヘラクレス・ゴメスを投入し、最後のカードを切った。

 激闘に決着を付けたのはギャンの左足だった。延長前半3分、アイェウがハーフウェーライン付近から放り込んだロングボールにギャンが走り込む。後方からボカネグラに押されたが、これをものともせず、ゴール前に突進。豪快に左足を振り抜き、ゴールネットに突き刺した。

 アメリカは延長後半ロスタイムのCKのチャンスでGKハワードもゴール前に上がるなどなんとか同点ゴールを目指したが、反撃及ばず、ガーナが2-1で逃げ切り勝ち。地元のアフリカ勢で唯一決勝トーナメントに残った“最後の砦”が延長戦を制し、初出場した前回大会の16強を超える初の8強入りを果たした。

<写真>国旗を持ちウイニングランするペイントシル

(取材・文 西山紘平)

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