beacon

日本、PK戦で敗れる…史上初のベスト8入りならず

このエントリーをはてなブックマークに追加


[6.29 W杯決勝トーナメント1回戦 日本0-0(PK3-5)パラグアイ ロフタス・バースフェルド]

 日本、PK戦に泣く…。日本代表は29日、決勝トーナメント1回戦でパラグアイと対戦。史上初のベスト8進出をかけた決戦は0-0のまま延長戦を含めた120分間で決着が付かず、PK戦に突入。後攻の日本は3人目のDF駒野友一がクロスバーに当ててしまう。パラグアイは5人全員が成功。PK3-5で敗れ、新たな歴史の1ページを切り開くことはできなかった。

 日本はグループリーグ3試合と同じ不動の11人で臨んだ。GK川島永嗣、4バックは右から駒野友一、中澤佑二、田中マルクス闘莉王、長友佑都。中盤は阿部勇樹をアンカーに置き、右前に長谷部誠、左前に遠藤保仁。右サイドに松井大輔、左サイドに大久保嘉人が入り、本田圭佑が1トップを務めた。
 パラグアイも4-3-3で、GKフスト・ビジャル、4バックは右からカルロス・ボネット、パウロ・ダ・シルバ、アントリン・アルカラス、クラウディオ・モレルと並んだ。中盤ではMFビクトル・カセレスが出場停止。代わってネストル・オルティゴサが今大会初出場初先発でアンカーに入り、右前にエンリケ・ベラ、左前にクリスティアン・リベロス。3トップは右にロケ・サンタクルス、左にエドガル・ベニテスが入り、ルーカス・バリオスが中央に位置した。

 組織的な守備をベースとした両チームの対戦とあって、静かな立ち上がりとなった。日本は試合開始14秒に大久保、前半3分に駒野がミドルシュートを狙ったが、人数をかけて攻め込むのではなく、確実にフィニッシュで終えることを優先。リスクを冒さず、ビルドアップ時にプレッシャーをかけられれば、大きく前に蹴り出し、安全策を取った。まずはこれまで通り、手堅く守備から入った。

 守りを固める日本に対し、パラグアイはボール支配率を高め、日本を押し込む。日本の粘り強いディフェンスの前に攻めあぐねていたが、前半20分、リベロスからのスルーパスを受けたバリオスが鋭いターンでゴール前に抜け出す決定機。バリオスは右足アウトで狙ったが、GK川島がビッグセーブを見せ、ゴールを守った。

 日本は前半22分、大久保がドリブルで仕掛けたこぼれ球を松井が拾い、右足でミドルシュートを放つも、惜しくもクロスバーを直撃。攻撃は単発で、あまりにも攻めの時間が少ない展開が続いた。

 徐々にラインが下がり始める日本はなかなかリズムに乗れない。パラグアイは前半29分、モレルの左CKのこぼれ球をPA内でサンタクルスが拾い、左足でシュート。決定的な場面だったが、シュートはゴール右にそれた。

 相手のミスにも救われる日本。前半36分、PA外の左45度の位置で本田がファウルを受け、FKを獲得すると、スタジアム内では大音量のブブゼラが鳴り響いた。パラグアイのマルティーノ監督もベンチを飛び出して猛抗議。日本のFKを脅威に思っているのは明らかだった。

 前半40分、松井が再び個人技からチャンスをつくる。巧みなボールキープから遠藤につなぐと、長谷部を経由し、松井が長谷部のスルーパスに反応。右サイドをドリブルで駆け上がり、中央の本田が横パスを左足ダイレクトで狙ったが、アウトにかけたシュートはゴール左へ。少ないチャンスをものにするしかない日本。本田は思わず叫んで悔しさをあらわにしていた。

 前半はそのまま0-0で終了。ボール支配率はパラグアイの61%に対し、日本は39%。攻撃に関してはチャンスらしいチャンスは2回ほどだったが、これが今の日本ペースとも言える。後半のどこでギアを入れるのか、それとも相手が焦れてミスが生まれるのを待つのか。岡田監督の采配やゲームプランが気になる前半の45分間だった。

 後半から日本は遠藤をトップ下に上げ、長谷部と阿部のダブルボランチという4-2-3-1にシステムを変更。しかし、立ち上がりに阿部や遠藤にミスが重なり、後手を踏む。後半5分には中央をドリブルで駆け上がったオルティゴサがバリオスとのワンツーでPA内に切れ込んだが、長友がスライディングタックルでボールをカットし、かろうじてクリアした。

 後半11分にも中央からベラにドリブル突破を許し、スルーパスを受けたベニテスが左足でシュートを打ったが、なんとか中澤が足に当ててCKに逃れる。同14分には左サイドのスローインからモレルのクロスにリベロスが頭で合わせたが、GK川島の正面。防戦一方となる日本に対し、パラグアイは後半15分にベニテスに代えてFWネルソン・バルデスを投入し、たたみかけに来た。

 日本は後半18分にCKのチャンス。セットプレーを生かして先制点を奪いたいが、遠藤の右CKに合わせた闘莉王のヘディングもゴール右に外れた。同21分、運動量の落ちた松井に代えてFW岡崎慎司を投入。岡崎はそのまま右サイドに入った。

 後半22分にはパラグアイのFKからゴール前で川島と闘莉王が衝突。川島のひざが首から左肩付近に入った闘莉王はいったん外に出たが、すぐにピッチに戻った。同27分、相手のカウンターを止めようとファウルをした長友が警告を受ける。累積2枚目となり、この試合に勝っても準々決勝は出場できないことになった。

 パラグアイは後半30分、オルティゴサに代わってMFエドガル・バレットがピッチへ。日本も同36分に阿部に代えてMF中村憲剛を投入し、互いに2枚目のカードを切った。中村憲はトップ下に入り、長谷部と遠藤のダブルボランチに変わった。

 日本は後半43分、中村憲が抜群のボールキープから本田につなぎ、右サイドの駒野へ。いい展開だったが、駒野のクロスはゴール前で跳ね返された。

 互いに決め手のないまま試合は終盤に入る。ロスタイムは3分。後半47分、右サイド後方からの遠藤のFKに中澤が競ったこぼれ球に闘莉王が滑り込むが、惜しくも届かず、結局、0-0のまま90分間を終えた。

 選手、スタッフ全員で円陣を組み、延長戦に突入した日本はいい入りを見せる。延長前半1分、本田のボールキープからパスを受けた大久保がドリブルで中央を持ち上がり、右サイドの中村憲に展開。ゴール前に岡崎も上がっていたが、中村憲はシュートを選択。このミドルがCKを獲得し、遠藤の右CKに岡崎が頭で合わせたが、ゴールの枠を捉えられなかった。

 パラグアイは延長前半4分、サンタクルスに代えてFWオスカル・カルドソを投入し、最後のカードを切る。同7分には左サイドから中に切れ込んだモレルのスルーパスにバルデスが抜け出しかけるが、闘莉王が体を寄せ、バルデスのシュートはGK川島がセーブ。その後の波状攻撃にも岡崎、闘莉王が体を投げ出してシュートをブロックした。

 延長前半7分、左45度の位置で獲得したFK。角度的には遠藤のポイントだったが、本田が左足を振る。地をはうような低いシュートはバウンドしてゴール右隅を捉えていたが、GKの好セーブに阻まれた。

 延長後半開始から日本は大久保に代えてFW玉田圭司を投入し、最後のカードを切った。8分には遠藤の右FKに逆サイドの闘莉王がフリーで合わせるも、ヘディングシュートはゴール左へ。9分、遠藤も累積2枚目となる警告を受け、勝った場合は準々決勝が出場停止となった。

 延長後半11分、左サイドから玉田がドリブルで一気に駆け上がる。こぼれ球を拾った岡崎がヒールパスで再び玉田に戻すが、玉田はシュートではなく、クロスを選択。ゴール前で味方に合わなかった。

 試合は延長戦でも決着が付かず、0-0のままPK戦に突入。後攻の日本は1人目の遠藤、2人目の長谷部が成功し、2-3で迎えた3人目の駒野がクロスバーに当ててしまう。先攻のパラグアイは4人目まですべて成功。日本も4人目の本田は決め、3-4で迎えたパラグアイの5人目。決めれば日本の敗退となる運命のキックをカルドソにゴール左へ決められた。PK3-5。歴史的勝利まであと一歩だったが、わずかに及ばず、日本はベスト16敗退となった。

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
W杯南アフリカ大会ページ
ベスト16が「限界」なのか、日本に足りないものはなんだったのか
本田はすべての人に感謝、「批判してくれたことにも感謝している」
長友「僕と圭佑でサッカー界を引っ張って行こうと誓えた涙だった」
黄金世代の矜持。遠藤は「しびれる試合がいっぱいだった」
キャプテン長谷部は4年後を見る、「若い選手が今いる選手を追い抜くことに期待している」
4試合で2失点、世界と戦えた守備、川島「自信を持って次へ」
監督会見
選手コメント

TOP