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[総理大臣杯]中京大が決勝初進出!10日に駒澤大と「決戦」

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[7.8 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント準決勝 国士舘大 0-1 中京大 長居2]

  第34回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントの決勝カードは中京大(東海)対駒澤大(関東2)に決まった。大阪長居第2陸上競技場で行われた準決勝の第2試合、国士舘大(関東4)対中京大は中京大が1-0で勝利。初の決勝進出を果たした。

「負けてこんなにくやしい思いをしたのは、本当に久しぶり」。試合後、敗れた国士舘大の細田三二監督は、そうこぼした。「中京大が、ああいう戦い方をするのはわかっていた。わかっていたのに、やられてしまった」。前半は徹底的に守り、後半にシステムを変えて一気に攻撃に出る。準々決勝でも、中京大は同じような戦い方で、優勝候補の福岡大に自分たちのサッカーをさせなかった。準決勝のこの試合も戦い方は同じ。攻撃力の高さに定評のある国士舘大を見事術中にはめ、ゴールを許すことなく1点を守りきった。

 中京大は前半、3-6-1のシステムで自陣深く守備のブロックを作るディフェンシブな戦い方を徹底。国士大は中盤の佐藤優平(2年=横浜FMユース)、岩崎晃也(3年=青森山田高)、金子昌広(2年=正智深谷高)らが積極的に攻撃を仕掛けるが、中京大がシュートをことごとくブロック。25分を過ぎるころには、ボランチ・斎藤一行主将(4年=新潟ユース)を経由して攻撃の組み立て直しを試みるも、むしろ攻撃スピードが落ちて攻めあぐねるといった状態。それでも34分には、FWの松本祐樹(4年=西武台高)がドリブルで突破。GKをつり出すとPA内にあがっていた岩崎にパス。これを受けた岩崎が、ゴール右隅にシュートを放つという局面を迎えたが、ゴールラインを割る寸前のところで中京大DF中田智久(3年=中京大中京高、前ヴィッセル神戸)がクリア。国士舘大は決定的なチャンスを逃してしまう。そして結果的には、このゴールを決められなかったことが、後半の国士大に大きくのしかかってくることになる。

 後半に入ると中京大はシステムを4-4-2に変更。疲れの見える石原卓(2年=中京大中京高、元横浜F・マリノス)に代えてMF中村亮太(2年=中京大中京高)を投入。と同時に、突破力のある小川真司(3年=東海学園高)を右SBのポジションに置く"攻撃的シフト"に切り替える。15分には、この小川の突破が契機となり、ゴール前でFW齋藤和樹(4年=清水商高)、MF熊澤圭祐(3年=中京大中京高)とつないで、最後は中村がシュート。「選手の配置や投入のタイミングで、(攻撃の)スイッチを入れる」(中京大・西ヶ谷隆之監督)というプランどおりの展開で、貴重な先制点を奪取する。
 この1点で勢いに乗った中京大は、その後も国士大ゴールに迫るが追加点を奪うまではいたらない。「まだまだミスが多い。あと2点、3点は取れるチャンスがあった」(西ヶ谷監督)。
 終了間際には途中出場のFW吉野峻光(3年=静岡学園高)のFKがポストに当たるという、国士大にとってはアンラッキーな展開も。だが総じて中京大は集中して国士大の攻撃を防ぎ切り、4分のロスタイムを耐えてタイムアップ。史上初となる決勝への出場権を手にすることとなった。
 
 前半を徹底して守り、後半に攻撃に転じるというプランで強豪を倒してきた、中京大・西ヶ谷監督は「(中1日の連戦という)レギュレーションでは、毎試合フレッシュな状態でやれるわけではない。だからこそ45分間の我慢だし、決して守り一辺倒ではない」とコメント。「おもしろくないサッカーかもしれないが、勝つために何が必要なのか理解し、その中で自分たちやりたいことをやれるようになるのが大人のサッカー。彼らがそれを、この戦いの中で感じてくれれば上出来」。決勝の相手は、自身の大学生時代、そして筑波大・明治大コーチ時代に、何度も対戦経験のある駒澤大。よく知る相手だけに「強い。縦に速い」と警戒することは忘れないが、「これまでと同じサッカーをするとは限らない」と不敵に笑って会場を後にした。

(取材・文 飯嶋玲子)

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