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スペインが悲願の初優勝!イニエスタが延長120分間の激闘に終止符!!

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[7.11 W杯決勝 オランダ0-1(延長)スペイン サッカーシティ]

 スペインが悲願の初優勝!! W杯南アフリカ大会は11日、ヨハネスブルクのサッカーシティで決勝を行い、スペインが延長戦の末、オランダに1-0で競り勝った。0-0のまま延長に持つれ込む120分間の死闘は、延長後半11分にMFアンドレス・イニエスタが劇的な決勝点。初の決勝進出で初優勝を達成したスペインがW杯史上8ヵ国目の栄冠に輝いた。

 オランダは4-3-3のシステムで、GKマールテン・ステケレンブルフ、4バックは右からグレゴリー・ファン・デル・ビール、ヨン・ヘイティンハ、ヨリス・マタイセンジョバンニ・ファン・ブロンクホルストと並んだ。中盤はマルク・ファン・ボメルナイジェル・デ・ヨングのダブルボランチで、トップ下にウェズレイ・スナイデルが入り、前線は右からアリエン・ロッベンロビン・ファン・ペルシーディルク・カイトの3トップ。準決勝が出場停止だったファン・デル・ビール、デ・ヨングが先発に戻り、ベストメンバーで臨んだ。
 スペインは4-2-3-1で、GKイケル・カシージャス、4バックは右からセルヒオ・ラモスジェラール・ピケカルレス・プジョルホアン・カプデビラ。中盤はセルヒオ・ブスケツシャビ・アロンソがセンターで、トップ下にシャビ・エルナンデス。右サイドにペドロ・ロドリゲス、左サイドにアンドレス・イニエスタが入り、ダビド・ビジャが中央に位置した。FWフェルナンド・トーレスは準決勝に続いてベンチスタートとなり、ペドロが2試合連続で先発した。

 両チーム通じて最初のチャンスは前半5分。スペインはシャビの右FKからセルヒオ・ラモスがヘディングシュートを放つ。GKの好セーブに阻まれたが、開始早々、惜しい場面をつくった。

 戦前の予想通り、ボール支配率を高めるスペインがじっくりとパスをつなぎ、試合の主導権を握る。前半11分、ビジャ、イニエスタとつないで右サイドに展開すると、セルヒオ・ラモスは自らドリブルでPA内に切れ込み、CKを獲得。シャビはショートコーナーからシャビ・アロンソにつなぎ、シャビ・アロンソの右クロスを逆サイドで待ち構えていたビジャが左足ボレーで狙ったが、ゴール左に外れた。

 オランダは高い位置から積極的にプレッシャーをかけ、スペインのパス回しを封じ込めようとする。いい位置でボールを奪ってカウンターの形に持ち込むまでには至らないものの、スペインはオランダの早い寄せに苦しみ、ゴール前に迫ることができなくなった。

 拮抗した展開が続く試合は徐々に激しさを増し、前半15分にファン・ペルシー、16分にプジョル、22分にファン・ボメル、23分にセルヒオ・ラモスがいずれも危険なスライディングタックルで警告を受ける。さらに28分にはハイキックでシャビ・アロンソの胸部を蹴り上げたデ・ヨングにも警告。13分間で5枚のイエローカードが飛び交った。

 我慢比べの様相を呈してきた前半の45分間。焦れずに流れを引き寄せたのはオランダの方で、何度かスペインゴールに迫る。前半37分、右CKからロッベンがショートコーナーでつなぎ、ファン・ボメルがミスキック気味にゴール前に低いクロスを送ったが、マタイセンはシュートを空振り。前半ロスタイムにもファン・ペルシーの落としを受けたロッベンが右サイドから切れ込み、左足で際どいシュートを放ったが、GKに弾かれた。

 0-0で折り返した後半最初のチャンスもスペインがつかむ。後半3分、シャビの右CKをプジョルが頭でそらし、逆サイドのカプデビラが左足で狙うも、まさかの空振り。その後は再び中盤でのつぶし合いが続く膠着状態となった。

 先に動いたのはスペイン。後半15分、ペドロに代えてFWヘスス・ナバスを投入した。流れを引き寄せたい交代だったが、この直後にオランダがこの試合最大の決定機をつくる。後半17分、スナイデルのスルーパスにロッベンが抜け出し、GKと1対1に。余裕を持って左足で狙ったシュートは、しかしGKカシージャスが右足1本でスーパーセーブ。絶体絶命のピンチを守った。

 すると、今度はスペインに決定機。後半25分、ナバスが右サイドからドリブルで縦に仕掛け、低い折り返しを送る。戻りながらのディフェンスとなったハイティンハがクリアミスしたボールは逆サイドに流れてきたが、ビジャのュートはGKが鋭い反応で弾き出す。両チームの守護神がビッグセーブを見せ、試合は0-0のまま終盤に入った。

 オランダは後半26分に1人目の選手交代。カイトに代わってFWエルイェロ・エリアがピッチに入った。お互いにファウルが増え、セットプレーの回数も多くなる中、1点の重みはどんどんと増していった。

 スペインは後半32分、シャビの左CKにセルヒオ・ラモスがフリーで飛び込んだが、ヘディングシュートはゴール上に外してしまう。オランダも同38分、ロングボールをファン・ペルシーが頭で落とすと、ロッベンがプジョルと競り合いながら抜け出しかけたが、ボールは飛び出してきたGKに抑えられ、シュートは打てなかった。

 スペインは後半42分にシャビ・アロンソに代えてMFセスク・ファブレガスを投入したが、最後までオランダの粘り強いディフェンスを打ち破れず、0-0のまま90分間を終え、優勝の行方は2大会連続6回目の延長戦にもつれ込んだ。

 互いに疲れの色が濃くなる延長戦はオープンな展開となった。スペインは延長前半5分、イニエスタのスルーパスからセスクが完全に抜け出すも、左足のシュートはGKステケレンブルフが左足でセーブ。同9分には今度はセスクのスルーパスに反応したイニエスタがPA内に入ったが、シュートを打つタイミングが遅れ、チャンスを逃してしまう。

 オランダも延長前半6分にスナイデルの右CKからマタイセンが決定的なヘディングシュートを放ったが、ゴール上へ。同9分、デ・ヨングに代えてMFラファエル・ファン・デル・ファールトを投入し、勝負を決めに出るが、徐々にスペインの圧力に押されていく。同15分には運動量の落ちたファン・ブロンクホルストを下げ、DFエドソン・ブラーフハイトをピッチに送り込んだ。

 スペインは延長後半開始からビジャに代えてFWフェルナンド・トーレスを投入する。単独得点王も懸かっていたビジャを下げ、EURO2008決勝で決勝点を決めたエースに託した。

 延長後半4分、シャビとのワンツーで抜け出そうとしたイニエスタが後方からハイティンハに倒され、FKを獲得すると、このプレーでハイティンハが2枚目の警告を受け、退場処分に。オランダは残り10分間、数的不利となり、ファン・ボメルを最終ラインに下げて対応した。

 死闘に終止符を打ったのはイニエスタだった。延長後半11分、左サイドからフェルナンド・トーレスがクロスを上げると、DFのクリアミスをセスクが拾う。セスクはすかさず右サイドでフリーのイニエスタへスルーパス。丁寧なラストパスを受けたイニエスタはワントラップから落ち着いて右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。1-0。スペインが土壇場で勝利を決定付けた。

 試合終了直前、フェルナンド・トーレスが負傷するアクシデントはあったが、オランダの最後の反撃もかわし、試合はそのまま1-0で終了。史上8ヵ国目の優勝国はスペイン! 次々と歓喜の輪が広がるピッチの中、GKカシージャスは人目もはばからずに号泣し、ビセンテ・デル・ボスケ監督は選手から胴上げされた。2年前の欧州選手権制覇に続くW杯制覇。南アフリカの地で、スペインがW杯の歴史に新たな1ページを刻み込んだ。

<写真>初制覇をなしとげたスペインチーム

(取材・文 西山紘平)

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