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槙野は決勝弾も、新パフォーマンスで負傷交代。「回ってるときにやっちゃった」

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[7.24 J1第24節 浦和0-1広島 埼玉]
 サンフレッチェ広島のDF槙野智章が今季初ゴールを決め、昨季までチームメートだった盟友・柏木陽介率いる浦和を下した。暫定5位浮上の原動力となった。
 ゴールは0-0で迎えた後半27分に生まれた。槙野はPA手前左で前線のFW佐藤寿人にタテパスを入れ、反対の右にダッシュ。寿人からのリターンを受けて、右足できっちりとゴールネットを揺らした。待望の今季初ゴール。これが決勝点となり、埼玉スタジアムでの初勝利(6戦目)も導いた。
 「寿人さんがうまくターンして、いいパスをくれました。ゴール後すぐに交代? 恥ずかしいんですけど、パフォーマンスのときに足をつっちゃいました」
 “オチ”がついてしまった。ゴール後、槙野はロンダート(側転に似たアクロバット技)を繰り出して、弓矢を引くパフォーマンスを披露したが、その際、右太股の裏をつらせてしまった。「回ってるときにやっちゃった。できたけど、他の選手のほうがいいと思って。チームのために」と自ら交代を申し出て、歓喜から3分後の後半30分、途中交代した。
 槙野は「パフォーマンスを少し変えました。2009年バージョンは、回って、弓矢を抜いて、放つヤツだったんですけど、2010年バージョンは先に抜いて上に投げて、回って、取ってから打つようにしたんですけどね」と、せっかくの新パフォーマンスがあだとなったことに苦笑いした。
 この日はいつも以上に燃えていた。試合が楽しくてしかたなかった。相手には昨年まで一緒にプレーしていた柏木陽介がいた。広島ユースの同期生で、昨年まで7年間、チームでもアンダー世代の代表でも、仲間として戦ってきた間柄だ。
 「前夜も連絡を取ってましたよ。僕の友人が来るんで、チケットとってもらったんです(笑)。あまり意識はしなかったけど、初めての真剣勝負なので、すごく楽しかった。敵にすると嫌ですね」と槙野。システム上対面になることが多く、柏木が話しかけてきたり、軽く頭を叩いてきたりしたという。「叩かれたんで、そのときにもっとオーバーに倒れてれば、レッドカードで退場にできたんですけどね」と振り返った。
 試合後、取材を受けている槙野に、遅れてミックスゾーンに出てきた柏木が後ろから軽くキックを見舞った。顔を見合い、2人に笑みが広がった。その後、槙野は取材陣のビデオカメラを借りて柏木に向けて回し、「柏木選手、きょうは負けましたね」と“口撃”。柏木は「何もいえないです」と苦笑いを浮かべていた。
 サッカーの楽しみ方は様々だが、こういう“仲良しライバル”の対決も見物だ。試合後、2人はユニホームを交換し、それぞれのサポーター席に挨拶に出向いた。互いのやり取りや言動を“軽い”と見る人もいるだろうが、スポーツは好敵手同士の対戦で盛り上がることがしばしば。楽しそうな2人を見て、楽しんだサポーターも多いはず。『柏木vs槙野』-。新しいライバル関係は、これからもファンを楽しませるだろう。
(取材・文 近藤安弘)

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