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怪我から復帰即、決勝弾のジュニーニョが涙。「引退も考えた」

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[7.25 J1第14節 川崎F1-0京都 等々力]
 苦しいリハビリ、支えてくれた家族やサポーターの顔が思い浮かび、涙があふれた。再三の怪我で出遅れていた川崎フロンターレのFWジュニーニョが、京都戦の後半17分から今季初出場を果たし、同44分に決勝ゴールを決めた。チームを5試合ぶりの勝利に導き、J1通算100勝にもつなげる値千金弾。帰ってきたエースは、ヒーローインタビューで人目を気にせず感情をあらわにした。
 「自分のサッカー人生でこれだけ長い間、プレーできないことはなかった。精神的にすごく難しい時期を過ごした。引退も考えたんだ。うまくいかないことが続いたので、そういうことを考えた」
 今年1月下旬に右ふくらはぎを肉離れして離脱した。その後、リハビリ中に2度も再発症した。ボールを蹴られない日々が続く。3月下旬にはブラジルに帰国して家族とともにリハビリに専念したが、なかなか完治せず『引退』の二文字が頭をよぎったという。
 家族の支えとともに、サポーターの熱い声援が力となった。ブラジルでリハビリ中の5月下旬、サポーター有志によるビデオメッセージと寄せ書きが届けられた。夫人ら家族と一緒にビデオを見ると、「帰ってくるのを待っています!」「またジュニのゴールが見たい!」「リハビリ、頑張って!」など励ましの声がつまっていた。
 「家族がいたから涙は我慢したけど、本当にうれしかった」とジュニーニョ。もう一度、等々力でゴールする姿を見せたい、そして勝利で恩返ししたい-。そんな思いを胸に、気持ちを奮い立たせた。
 「早く僕の家・等々力に帰ってきたいと思っていた。素晴らしいサポーターの前で試合ができて幸せです。ゴールを決められて勝てて、よかった。これが新しい歴史のスタートになる。きょう100勝できたけど、自分の中ではもう、200勝を考えている。そしてその中ではタイトルを取りたいと思っている。ここから優勝できるようにしたい」
 試合終了直後、ジュニーニョは拡声器を持って、サポーター席に向かい「カエッテキマシタ!」と日本語で挨拶。そしてポルトガル語で感謝の思いを口にした。最後には、再び日本語で「オーオオオー、ジュニーニョー!!」と自らの応援歌を歌い出し、サポーターと熱唱。さらなる活躍を宣言した。
 くしくも、ジュニーニョが人前で涙を流したのは、パルメイラス時代の2000年に優勝して以来、生涯2度目のことだという。「きょうから歴史が始まります。今後の目標は優勝すること。みんなで、タイトルを取りたい」。次に涙を流すのは、川崎Fに悲願の初タイトルをもたらしたとき-。エースはそう、心に決めているはずだ。
<写真>サポーターに挨拶する川崎F・FWジュニーニョ
(取材・文 近藤安弘)

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