beacon

[MOM309]広島ユースMF野津田岳人(1年)_茨城で見せた“サンフレ劇場”!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.12 全日本ユース選手権1次R第2戦 磐田ユース0-5広島ユース ひたちなか]

 攻撃で圧倒しているのに、なかなか先制点が奪えない。そんな状況を打開したのがサンフレッチェ広島ユースの1年生MF野津田岳人だ。前半33分、PA内中央で受けたボールをワンタッチで押し込み先制点を奪った。
 ゴール後、一目散にベンチとは反対方向の無人のスタンド前へ走り出すと、一人でガッツポーズの連続。雄たけびを上げながらゴールを喜んだが、即座にチームメイトに広島のベンチ前へ“連行”された。そして披露したのが“ゆりかごダンス”。トレーナーの第2子誕生を祝い、ゴールが決まったらみんなでやろうと決めていたものだ。

 しかし、ここでも野津田はまさかの失態。弓矢のパフォーマンスをしようとし、慌てて”ゆりかごダンス”に切り替えた。これを見たトレーナーは喜びながらも「なんで忘れとったんや!」と野津田に突っ込みを入れるなど、微笑ましい光景がみられた。

 今までは、ゴールパフォーマンスをすることはなかったが、高円宮杯が始まり、主将のDF宗近慧の発案で初戦から“サンフレ劇場”が始まった。この日と同じ茨城・ひたちなか市総合運動公園陸上競技場で行われた第1戦では弓矢のパフォーマンスを見せ、今回はゆりかごダンス。トップ顔負けの楽しそうな表情をみせる選手たちは、もちろんサッカーも同様に楽しんでいる。

 野津田は「トレーナーのために(ゆりかごダンスを)やろうって決めてたんですけど、ゴールが嬉しくて忘れちゃって、しかも最初の試合で弓矢をやってたんで今回も弓矢かなって思ったら……」とゴールパフォーマンスでの“失態”を弁解したが、プレーでは1年生らしからぬ堂々の戦いぶりをみせた。
 1年生での先発出場に当初は不安もあったようだが、現在では「慣れてきたし通用する部分もある。自信を持ってやればできるのかな」と徐々に手応えを感じつつあるようだ。後半31分には直接FKも決めたMFは「左足には自信があります」と話し、今後もその左足でチームを勝利へ導いていく意気込みを口にした。

 広島ユースの選手たちは、誰かのためにという思いでサッカーに取り組む意識が強い。今回のトレーナーへ捧げたゴールをはじめ、今年度で最後となる寮長のために「今まで感謝しているから。そのための恩返しをしたい。優勝をプレゼントしたい」と野津田はもちろん全員が強く誓っている。決勝トーナメント進出のためには、勝ち点3で並ぶ3位・柏U-18との1次ラウンド最終戦でグループ2位を守ることが不可欠。ただし引き分けではなく、勝って決勝トーナメントへ駒を進める。

(取材・文 片岡涼)

連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

TOP