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[MOM354]佐野日大MF豊田祐樹(2年)_「オイシ過ぎる」全国決定弾

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.13 全国高校選手権栃木県大会決勝 矢板中央 1-2(延長)佐野日大 栃木グ]

 「オイシ過ぎますね」。ヒーローの表情には試合後、自然と笑顔がこぼれ出てきていた。

 1-1で迎えた延長前半8分だ。佐野日大は左スローインをPAへと入れる。矢板中央のプレッシャーの前にこぼれたボールに反応したのは後半終了間際からピッチへ投入されていた2年生MF豊田祐樹だった。「結構落ち着いていた。コースもちゃんと見えていて打ったら入っちゃいました」。利き足とは逆の右足で打ち抜かれたボールは、矢板中央の名手・GK三浦拓(3年)の指先を抜けてゴールへと突き刺さった。

 実際自分のシュートがゴールを破ったかどうかはDFに視界を遮られて分からなかった。ただ、「前を見てたら周りの雰囲気が変わって、チームメートがもう飛びついてきていました」。一瞬で歓喜の輪に放り込まれた豊田は、喜びを表現することもできないまま手荒い祝福を浴びた。「殴られたような感じで・・・・・・」というほど“ボコボコ”にされたが、痛みも吹っ飛ぶ歓喜。数秒後、我に返った背番号16は人差し指を何度も突き上げてようやく自らの喜びを表現した。

 自身にとっても苦しい大会だった。初戦の5日前に尾骨骨折。スーパーサブとして期待されていたが、ようやく出場を遂げたのは準決勝になってからだ。それでも両足から強烈なシュートを放つアタッカーへの期待は大きかった。小林巧監督が「スタメンで使ってもいいほどの選手」と評するMFは1-1の後半終了間際にベンチから声がかかると、スタンドのチームメートからも「トヨタ!」「トヨタ!」の期待の声。「出る前からヒーロー狙いでした」という豊田はチームを7年ぶりに全国へ導く決勝ゴールで声援に応えた。
 
 憧れだった全国舞台。自らその夢を切り開いた豊田は目標であるエースFW森のような常に前を向く姿勢と、練習を重ねて結果を出したシュートをさらに磨いて全国へ乗り込む。

(文 吉田太郎)

【特設】高校選手権2010

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