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[MOM358]都・駒場MF秋葉俊之介(3年)_“文武両道”で勝ち取った13年ぶりV

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.13 全国高校選手権東京B大会決勝 國學院久我山0-1都・駒場 西が丘]

 受験と部活の両立ができる高校生が「スーパー高校生」だとしたら、都・駒場の選手は皆がそれに当てはまる。この日、前半13分に鮮やかなパス回しから、ダイレクトで決勝ゴールを決めたMF秋葉俊之介(3年)も例外ではない。

 大学受験を年明けに控え、現在は受験勉強の真っ最中。18時半に練習が終わると、そこから塾へ向かい、22時半過ぎまで勉強に励んでいる。サッカーにかけられる時間は限られているが、わずかな時間を大切に使い、目の前の練習に集中することで、全国行きという結果を残してみせた。本大会出場が決まって「引退が延びましたけど、勉強がやばいです」というのは、まさに嬉しい悲鳴だろう。

 都・駒場の山下正人監督は「受験と部活の両立をできる子がスーパー高校生なわけじゃない。どの高校生にもできること」と言い、「最後の最後までやりきる高校生をつくりたい」と話していた。その指導は、見事花を咲かせ、多くの「最後までやりぬくことができる」選手が生まれた結果、駒場は全国入りを勝ち取ることができたのだ。何事においても、最後までやりきるという精神こそが駒場サッカーの真髄なのだろう。

 この日、決勝弾の活躍にも、秋葉の口をついて出てくるのは「DFでもっと強くいかないと」「CKがだめだった」と反省ばかり。なかでも、西が丘に入ってから調子が上がらないというセットプレーのキック精度については、苦い表情をみせていた。秋葉に限らず、優勝した駒場の選手の口からは、次から次へと今試合の課題が出ていた。彼らの、この向上心が今回の結果を生んだのには間違いない。

 ここから受験勉強のシーズンは本格化をたどる一方だ。しかし、それと同じくして全国大会も近づいてくる。引退試合が訪れる、その日まで、秋葉たち駒場の選手は、最後までやりぬく姿勢を崩すことなく、その先に栄光があると信じて、文武両道に励む。

(取材・文 片岡涼)

【特設】高校選手権2010

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