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[MOM112]関西大FW安藤大介(2年)_165cmの小柄な体で大仕事

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.18 全日本大学選手権1回戦 国士舘大2-3関西大 プレテク]

 165cmの小さな体が大きく弾んだ。2-2で迎えた後半25分、右足を力いっぱい振り抜いたFW安藤大介(2年)のシュートがゴールネットを揺らす。右こぶしを握り、飛び跳ねてガッツポーズ。意外な“伏兵”の一発がシーソーゲームに終止符を打った。

 「いい形で最後に僕のところに来て、フリーだった。ボールが来るのは分かっていた」。左サイドでボールを持ったFW藤澤典隆(4年)が中央にはたき、FW金園英学(4年)がワンタッチで流す。2列目から走り込んだMF田中裕人(2年)がパスを受けると、右サイドを抜け出した安藤の動きを見逃さなかった。丁寧なラストパスをフリーで受けた安藤はGKとの1対1に。「どこを狙うとかではなく、感覚で打った」というシュートが決勝点になった。

 ベンチに呼ばれたとき、チームはまだ2-1でリードしていた。ところが、ピッチ横で出番を待っている間に失点。「逆サイドにボールがあるときの守備がおろそかになっているからカバーしろ」。島岡健太監督からは守備の指示を受けていた安藤だったが、役割は変わった。

 元々はFWの選手だが、今季の関西リーグ後期からサイドハーフでのプレーが増えた。運動量を期待されてのコンバート。関西リーグでも先発は1試合のみで、途中出場の際は守備の指示が多いという。それでも「自分では攻撃的な選手だと思っている。攻撃で結果を残したいと思っていた」と、2-2に追い付かれる展開にFWとしての本能が目覚めた。

 全22節の関西リーグで決めたゴールは1点。4-0で快勝した関西国際大戦の4点目で、しかもPKだった。「流れの中でのゴールがなかったし、1点は勝負が決まったあとの4点目。自分がゴールを決めてチームの勝利に貢献するという試合がなかった」と、悔しい思いもしてきた。

 それがこの日は大事な全国大会初戦での決勝点。「全国でゴールを決められて自信になるし、これで波に乗っていければ」。磐田入団の内定している金園らにマークが集中する中、さっそうと現れた“新星”。悲願の頂点へ、勢いを生む初戦突破となったのは間違いない。

[写真]後半25分、決勝点を決めたFW安藤大介は飛び跳ねて喜ぶ

(取材・文 西山紘平)

第59回大学選手権特集
連載:大学マン・オブ・ザ・マッチ

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