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[MOM125]中京大FW藤牧祥吾(3年)_国立を“中京大劇場”に

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.26 全日本大学選手権準決勝 高知大1-2中京大 平塚]

 手がつけられないとはこのことだ。中京大のFW藤牧祥吾(3年)が圧巻のドライブシュートで3戦連発弾を叩き込んだ。1-1で迎えた後半23分、相手ボールを奪ったMF佐藤和弘からのラストパスに抜け出すと、ワンタッチで右足を振り切った。

 「自分は足が遅いからトラップしたらDFに取られると思って、打っちゃえと。GKが前に出ているのは見えていた。GKを越えれば入るかなと。ああいうシュートは好きですね」

 藤牧の右足から放たれたボールは「風が味方してくれた」と追い風に乗ってGKの頭上を越え、急激に落下。豪快なドライブシュートがゴールネットに吸い込まれた。

 得点後は、もはや恒例となったゴールパフォーマンスだ。フィールド選手10人が縦一列に並び、順番に上半身をぐるぐる回していく「EXILE」パフォーマンス。「リハーサルはしてないです。ああいう風にやるよと話していただけで。まさか10人になるとは思わなかった。5人ぐらいかなと思っていた」と白い歯をこぼした。

 3戦連発となった藤牧は1回戦の阪南大戦で「敬礼」、準々決勝・駒澤大戦では「ウミガメの出産」を真似たパフォーマンスを披露。藤牧と言えば、そして中京大と言えばゴールパフォーマンスというイメージも定着してきたが、今大会以前はこうしたパフォーマンスをしていたわけではなかった。

 発案者は藤牧だった。「この大会が最後の4年生のためにもみんなで喜べることがしたかった」。1回戦前夜、宿舎で同部屋となったFW齋藤和樹(4年)に敬礼のパフォーマンスを提案。齋藤の同意を得ると、移動中のバスの中で他のチームメイトにも伝えていった。

 「普段はこういうのを嫌がる(齋藤)和樹さんがやってくれてうれしかった」。チーム全員でゴールを喜ぶ。単純かもしれないが、ゴールパフォーマンスによりチームの団結力は高まり、中京大の快進撃につながっているのも確かだ。

 来年1月5日、関西大との決勝はサッカーの聖地、国立競技場で行われる。日本代表DF槙野智章(広島)に「負けてられない」という“お調子者”の藤牧にとって、これ以上の舞台はない。「国立でパフォーマンスができることなんてなかなかない。まだ何をするかは考えていないけど、もっと面白いのをやりたい。今度は11人全員でやれるような、めっちゃ面白いのをやりたい」と目を輝かせた。

 もちろん、パフォーマンスを見せるためには、点を取らないことには始まらない。それでも「上手いこと自分も点を取れている。上手くいきすぎです」と乗りに乗っている藤牧なら、4戦連発となるゴールで国立が“中京大劇場”と化してもおかしくない。

[写真]3戦連発となるゴールを決めた中京大のFW藤牧祥吾

(取材・文 西山紘平)

第59回大学選手権特集
連載:大学マン・オブ・ザ・マッチ

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