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[MOM377]滝川二FW樋口寛規(3年)_ハットトリックでアピール!

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 駒場1-6滝川二 西が丘]

「インターハイ4ゴールは伊達じゃない」噂にたがわぬ活躍ぶりだった。
滝川二のエース樋口寛規(3年)は前半ロスタイムには中央からドリブルで持ち込み、右足で豪快にロングシュートをぶち込めば、後半9分には、MF筒井亮磨(2年)からのパスに反応、冷静にGKの動きを見極め左足でゴールに流し込む。
 そして後半22分に得た30メートル近い位置からのFK。迷うことなく右足を振り切ると、無回転のシュートは軌道を変えながら、ゴールに突き刺さった。圧巻のハットトリックだ。

 この日は本職のトップではなく出場停止選手の穴を埋めるためにボランチでのスタートだった。
 栫裕保監督も「本来ボランチの選手とはいえ、苦肉の策でした」と言う。
 本人は「ボランチは県予選決勝以後、何試合かテストしてきたので大丈夫です」とこともなげだ。
 逆に得意とするミドルレンジからのロングシュートで再三駒場ゴールを脅かした。ボランチながらシュート7本はチーム最多だ。
「インターハイはゴールを決められましたが、高円宮杯や選手権予選ではダメでしたから」
――実は県大会決勝の夜、監督は樋口の携帯電話に連絡している。
「それまでどこか調子に乗っているところがあったんです。わがままなところがあるんですよ。それで、県大会は調子が悪かったのでいい機会だと思って優勝した後に“殺すぞ!”って怒鳴ったんです(笑)」
 そのことを覚えているのだろう、樋口はとても謙虚にこの試合を振り返っている。
「チームの勝利に貢献できればいいと。今日でちょっとは挽回できたかなと思います。だんだん戻ってきたと思います。調子が悪い時はロングシュートを浮かしてしまうんですけど、今日はちゃんと抑えられました」
 衝撃的なシュート力と決定力だが、じつはまだ進路が決まっていない。
「大学は…ひとつ受けて落ちました。いまはどこも決まっていないんです。でもまずは選手権にしっかり集中したいと思います」
 選手権に集中して自分の役割を果たすことで頂点が見えてくる。そうすればおのずと進路も開けてくるかもしれない。
 樋口の「調子にのりすぎない」アピールは今後も続く。

[写真]滝川二FW樋口寛規(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文/伊藤亮)


【特設】高校選手権2010

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