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[MOM378]前橋育英MF湯川純平(3年)_小島と阿吽の呼吸見せる最高の相棒

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 前橋育英4-1神村学園 柏の葉]

 欲しかった先制点、流れを決定付ける追加点。前橋育英(群馬)のMF湯川純平(3年)がチームを初戦突破に導いた。

 前半20分、左サイドを仕掛けたMF白石智之(2年)からマイナスのパスを受けると、ゴール前に鋭い縦パス。FW小牟田洋佑(3年)がワンタッチで前を向き、先制のゴールを奪った。

 「小牟田がいい位置にいたので。縦パスのスピードはチームでも重要視しているし、いいパスを出せてよかった」。常に前を、ゴールを意識したプレーが生んだ先制アシスト。前半27分には自らゴール前に進入し、追加点を決めた。

 白石のパスをFW飯沼壮貴(3年)がスルーし、MF戸内英輔(3年)がPA内の湯川にラストパス。「GKの位置をよく見て、落ち着いて決められた」と、右足でゴール右隅にねじ込んだ。

 ダブルボランチを組むMF小島秀仁(3年)が引いた位置でパスをさばき、ゲームをコントロールするのに対し、湯川は積極果敢に攻め上がる。山田耕介監督は「2人とも下がらないように。1人が残っていたら1人は前に行け。2列目から飛び出して、前がかりにいけ」と指示しているが、前線に飛び出すのはもっぱら湯川の仕事だ。

 湯川は小島について「ひとつひとつの質が高い。展開するパス、トラップ、視野の広さは勉強になる」と言うが、「前に飛び出していく攻撃参加は自分の持ち味」と異なる個性を発揮。「チャンスがあれば前に出ていって、ピンチになればDFラインまで下がるのが理想のボランチ像」と話す湯川には、小島にもない豊富な運動量がある。

 小島は「(湯川)純平は前に勢いがあるし、好きにやらせて、自分がバランスを取る。自分も攻撃が好きだけど、チームの勝利を考えれば、純平を自由にやらせた方が勢いも出るから」と、バランサーとしての役割に専念し、湯川の攻撃力を最大限に生かしている。

 「(小島)秀仁がこういうパスを出すだろうなというのは感じることができる。秀仁がやりやすいようにして、自分がスペースに出ていく」と湯川は言う。2人の間の阿吽の呼吸。絶妙なバランス感覚が前橋育英の最大の強みだ。

 U-19日本代表MF六平光成(現中央大)らを中盤に擁し、ベスト4に進出した2年前のチームと比較し、湯川は「あのころのチームの方が1人1人の能力は高かった」と認める。それでも「これからの自分たちの出来次第で越えられると思う」と力を込めた。個では劣っても、チーム力なら引けを取らない自信がある。「ベスト4以上の成績を残したい」。前橋育英の誇る黄金コンビが新たな歴史を刻む。

[写真]前半27分、2点目を決めたMF湯川純平(左)が喜ぶ

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2010

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