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[MOM384]尚志MF平野伊吹(3年)_ゲームを支配する絶対的司令塔

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 尚志 2-0 佐賀北 NACK]

 パスサッカーが身上の尚志(福島)にあって、一際異彩を放っていたのがキャプテンのMF平野伊吹(3年)だ。「彼はうちの心臓」と仲村浩二監督も全幅の信頼を寄せる。

 尚志は選手全員がリスクを恐れずにボールをつなぐことを意識しているが、そのなかで平野は絶対的な司令塔として君臨する。「自分を中心に攻撃を作れと言われているし、それが僕の持ち味。ゲームコントロールの部分は自信をもってやっている」と痩身のボランチはプレーメーカーとしての矜持を見せる。

 佐賀北戦では全得点に絡んでみせた。36分の先制点の場面では左サイドのスペースに的確なパスを送り、FW川辺祥太(3年)のゴールの起点となった。後半22分にも急所を突くパスでチャンスを生み出し、FW渡部圭祐(3年)の得点を呼び込んだ。「昔からDFの裏を見たり、スペースを見つけるのは得意」。平野はまだあどけなさの残る笑顔の裏にちらりと自信を覗かせた。

 単なるパサーではない。チャンスと見ると、自ら貪欲にゴールも狙う。後半ロスタイムにはゴール至近距離がら決定的なシュートを放っている。ボランチながらシュート数はチーム最多の4本を記録した。

 ゴール、アシストと記録に残る結果こそ出なかったが、チームはキャプテンマークを巻く背番号10を中心に回っていた。「もっとできる。これから試合をしていくなかでまだまだ上がっていってくれないといけない」と指揮官の評価は辛口だったが、それも期待の表れだ。

 目標は頂点に立つこと。「(チームの)立ち上げから全国制覇を掲げている。経験を積んできて、みんな自信を持っている」。唯一無二のコントロールタワーが母校を初の栄冠へと導く。

(取材・文 FBN)
(写真協力 『高校サッカー年鑑』)
【特設】高校選手権2010

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